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3.62026

相続に伴い、未登記建物を相続する場合の注意点、を考える

目次

  • はじめに
  • 未登記建物とは
  • 未登記建物の相続登記義務化について
  • 権利の主張には登記が必要
  • 遺産分割協議書で権利の主張はできない
  • 未登記のままのリスク
  • 未登記建物を登記申請する場合
  • まとめ

■ はじめに


2024年4月1日より不動産の相続登記が義務化され、相続人は不動産の取得を知った日から3年以内に名義変更(相続登記)が必須となりました。

正当な理由なく放置すると10万円以下の過料が科される可能性がありますので注意が必要です。

原則として未登記建物は義務化の対象外(登記がないため)となりますが、新たに表題登記を行うと以降は義務の対象となります。

この未登記建物は相続登記に義務化の対象外となりますが、相続財産であり、遺産分割の対象となるのは言うまでもありません。

では、相続で未登記建物を取得した相続人はどのように権利を主張するのでしょうか。

今回は、「未登記建物」の権利を主張する方法とどうしても登記をしない場合、第三者に対して「自分が所有者である」と主張するための代替手段について考えてみます。

■ 未登記建物とは


建物を新築した場合、法務局に新築した建物の情報や所有者の情報を記録するために登記を申請します。しかし、新築した建物の情報の申請を行わずに記録をしていない建物があります。この記録していない建物を「未登記建物」と呼んでいます。

■ 未登記建物の相続登記義務化について


相続登記義務化に基づいて、相続発生後3年以内に登記することが義務付けられましたが、そもそも登記されていない建物については登記自体が存在しませんので該当しないことになります。

しかし、相続登記義務化が始まる前から不動産登記法という法律が存在しており、その法律には以下のとおり記されています。

・建物を取得したときから1ヶ月以内に表題登記(表題部の登記)をしなければならない。

・未登記建物の登記申請を劣って未登記のままにしている者には10万円以下の過料に処する。(表題登記)

※権利部の登記は任意となります。(保存登記)

この定めにより、相続登記義務化の法律が適用されるということではなく、そもそも登記することが義務付けられているということです。

■ 権利の主張には登記が必要


未登記建物の権利(所有権)を第三者に主張(対抗)するには、原則として登記を完了させる必要があります。 

民法第177条には、「不動産に関する物権の変動は登記をしなければ第三者に対抗することができない」と定められています。

簡単に言えば、「登記がなければ、第三者に対して自分の権利を主張できない」という意味です。

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)

第177条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

■ 相続の場合、未登記建物はどうするべきなのか。


相続した建物が未登記の場合、市役所などへの届出と法務局での登記の2段階の手続きを検討する必要があります。 

1. 役所への届出(固定資産税の納税者変更、台帳上の所有者の変更) 

未登記建物でも、市役所などは「家屋補充課税台帳」で建物の存在を把握しており、固定資産税が課税されています。

名義変更をしないと、亡くなられた方の名前で納税通知書が届き続けるため、未登記家屋所有者変更届(自治体により名称が異なります)を届出る必要があります。 

この未登記家屋所有者変更届は、建物の所在地を管轄する市区町村役場の税務課(資産税課など遺産分割協議書(写し)、相続人全員の印鑑証明書、戸籍謄本などと併せて提出することになります。

2. 法務局での登記(権利の明確化) 

将来の売却や金融機関などから融資を借り入れる場合、未登記建物の登記を申請するする必要があります。 

必要となる登記

建物表題登記: 建物の所在や面積などを申請します。(土地家屋調査士に依頼)

所有権保存登記: 相続人が所有者として権利を申請します。(司法書士に依頼) 

■ 遺産分割協議書で権利の主張はできない


未登記建物を遺産分割協議で取得した場合、市役所への届出だけでは相続人間での合意は、証明できるとしても相続人以外の第三者に対する権利を確定させたことにはなりません。

ただし、相続で未登記建物を取得し、未登記建物を登記せず、そのまま未登記としておく場合、実務的に相続人全員が署名・捺印した遺産分割協議書が権利を裏付ける最も重要な証拠書類となります。

未登記としておく場合でも、この遺産分割協議書と亡くなった方の出征からなくなる日までの戸籍謄本、除籍謄本などは必ず保管してください。

理由としては、将来、未登記建物を登記申請する場合、または売却する場合には必ず必要となるからです。

■ 未登記のままのリスク


未登記のまま登記を行わない場合、「罰則」「売却・活用の制限」「次の世代への負担」の3つのリスクが生じます。

1. 法律上の罰則(過料)

建物の物理的な状況を登録する「表題登記」は、不動産登記法により新築から1ヶ月以内の申請が義務付けられています。 

これに違反して放置し続けると、10万円以下の過料(行政罰)を科される可能性があります。 

2. 売却や融資ができない

未登記建物は、「誰が所有者なのか」を証明する手段が乏しいため、登記がない状態では買い手が住宅ローンを組めず、所有権の移転も公的に記録できないため、売却を行う場合困難となります。また、未登記建物を担保にしてリフォームローンや事業融資を受けることができません。

※融資を受ける場合、未登記建物の登記が条件となります。

3. 次の相続で「負の遺産」になる

世代が変わるごとに相続人が増え、登記に必要な遺産分割協議がまとまりづらくなります。たとえば、数十年放置した場合、当時の建築確認申請書や領収書などの「所有権を証明する書類」が紛失し、登記申請しようとした場合、手続きが困難となります。 

■ 未登記建物を登記申請する場合


未登記建物を相続した場合」、登記申請(表題登記)を行うための主な調査と必要書類は以下の通りです。

1. 行われる調査の内容

正確な登記簿を作成するため、土地家屋調査士による以下の調査が必要になります。

現地調査・測量: 建物の正確な所在、構造、床面積を特定するため、実際に現地で計測を行います。

所有権の裏付け調査: 亡くなった方(被相続人)が確かにその建物の所有者であったか、また、相談者が正当な相続人であるかを、古い書類や土地の権利関係から確認します。 

2. 必要な書類

大きく分けて「建物の所有権を証明する書類」と「相続を証明する書類」の2種類が必要です。

① 建物の所有権証明書(いずれか2点以上が目安) 

古い建物の場合は紛失していることも多いため、手元にあるものを探してみてください。 

建築確認済証・検査済証

施工業者の工事完了引渡証明書(実印押印・印鑑証明書付き)

固定資産評価証明書(役所で取得可能)

固定資産税の納税通知書

電気・ガス・水道の領収書(所有者名義のもの) 

② 相続を証明する書類

被相続人の戸籍謄本: 出生から死亡までの一連のもの

相続人全員の戸籍謄本・印鑑証明書

遺産分割協議書: 「誰がこの建物を継ぐか」を記したもの 

③ 図面(土地家屋調査士が作成)

建物図面・各階平面図: 測量結果に基づき、土地上の位置や建物の形を記した図面です。 

費用の目安

土地家屋調査士への報酬: 建物の規模にもよりますが、一般的に10万〜20万円程度が相場です。

登録免許税: 最初の「表題登記」には税金はかかりませんが、その後の「所有権保存登記」の際には固定資産評価額に応じた税金がかかります。 

■ まとめ


遺産分割協議で未登記建物を取得した場合、市役所への届出だけでは不十分であり、第三者に主張するには、登記(表題登記+所有権保存登記)が唯一の手段です。

登記をしない選択をする場合でも、将来の問題を防ぐためには、市役所の資産税課などに未登記家屋所有者変更届を提出し、納税義務者をあなたに切り替えを行うとともに遺産分割協議書、亡くなった方の「除籍謄本」や、建てた当時の「工事請負契約書」「領収書」など、所有権を裏付ける書類をすべて保管することが大切です。

また、2024年4月から、相続で不動産を取得したら3年以内の登記が義務付けられており、未登記建物もこの対象に含まれるため、放置すると10万円以下の過料を科されるリスクがありますので登記を行うのか、未登記建物のまま所有されるのか、十分ご検討をいただくことが大切です。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)パイオニア(先駆者)を目指しています。

1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。

●ご売却をご検討の方は、こちらをご参照ください。

●賃貸をご検討の方は、こちらをご参照ください。

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