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8.22024

宅地建物取引業法の報酬規定改定

■ 目次

  • ■ はじめに
  • ■ 報酬規程改正は6年ぶり
  • ■ 宅地建物取引業者による空き家ビジネスへの積極参加を促す目的
  • ■ 賃貸借における長期の空家等の媒介特例を創設
  • ■ まとめ

■ はじめに


今年4月に総務省が発表した5年ごとの全国空き家調査(住宅・土地統計調査)によると、空き家の数と空き家率は過去最高を記録しました。

総住宅数のうち、空き家は900万戸と、2018年(849万戸)と比べ、51万戸の増加で過去最多とな っており、総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)は13.8%と、2018年(13.6%)から0.2ポイ ント上昇し、過去最高となっています。

出典:総務省

空き家数の推移をみると、これまで一貫して増加が続いており、1993年から2023年までの30年間で約2倍となっています。

空き家数のうち、「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」は385万戸と、2018年(349万戸) と比べ、37万戸の増加となっており、総住宅数に占める割合は5.9%となっています。

この30年間で空き家の数は約2倍になっており、空き家問題は待ったなしの状況です。

国としてもこの空き家問題を解決すべく、2023年には空き家の管理に関する法律を改正し、空き家の固定資産税や都市計画税を増税する方向性で問題の解決に取り組んでいます。

また、国土交通省は空き家の流通を後押しするため、国土交通省は宅地建物取引業者の報酬規定の改正に踏み切りました。

■ 報酬規程改正は6年ぶり


既存の空き家売買用の特例を、800万円以下(現行400万円以下)の物件まで対象を拡大し、報酬の上限を報酬規程を超える33万円に引き上げます。

【国土交通省告示に定める売買又は交換の媒介に関する報酬の限度額について】

200万円以下の金額=100分の5

200万円をこえ400万円以下の金額=100分の4

400万円をこえた金額=100分の3

※上記金額の左の欄に揚げる金額に区分してそれぞれの金額に同表の右の欄に揚げる割合を乗じて得た金額を合計した金額となります。

※上記報酬額に別途消費税および地方消費税が加算されます。

※上記報酬の限度額の規定により、400万円を超える報酬額は速算式にて3%+6万円となります。

【800万円の報酬額】

●報酬規程による場合

200万円までの部分の金額:10万円 200万円を超え400万円以下の金額:8万円

400万円をこえた金額:12万円

報酬額=30万円(別途消費税および地方消費税が加算されます。)

●改正による報酬

200万円までの部分の金額:10万円 200万円を超え400万円以下の金額:8万円

400万円をこえた金額:12万円

報酬額=30万円(報酬規程分)×1.1倍(改正による増額分)→33万円

※別途消費税および地方消費税が加算されます。

この報酬規定の改正は2018年1月以来6年ぶりであり、売買特例の大幅拡充に加え、新たに賃貸用の空き家の報酬特例も創設する方針のようです。

宅地建物取引業者が受領できる報酬(仲介手数料)の上限は、宅地建物取引業法に基づき国土交通大臣告示にて定めています。

■ 宅地建物取引業者による空き家ビジネスへの積極参加を促す目的


今回の改正に至った経緯として売買契約において売主・買主の一方から受領できる報酬額は、前記したとおり一定の料率を乗じて得た額となります。

社会課題となっている地方部の空き家は売買価格が低く、宅地建物取引業者として報酬額が少ないため、宅地建物取引業者が空き家の売却などを扱ううえで大きな課題となっていたのです。

 国土交通省は、これを踏まえ7月1日から売買を対象とする「低廉な空家等の媒介特例」(18年1月1日施行)を拡充する形で現行の売買価格400万円以下の物件を対象に売主からのみ最大18万円×1・1(19.8万円)まで報酬を受領できる特例を800万円以下の物件まで対象を広げることにしたのです。

また、報酬の上限も前記したとおり、最大で「30万円×1・1(33万円)」に引き上げ、かつ、買主からも最大33万円の報酬を受領できるように変更しました。

※800万円以上の物件の売買価格に対する報酬は従来とおりです。

報酬規程により、売買価格が400万円超の場合、報酬上限を簡易に計算する速算式として「3%+6万円」として計算してきました。しかし、7月1日以降は、800万円を超える売買価格に対してのみ速算式が使えることになります。

■ 賃貸借における長期の空家等の媒介特例を創設


賃貸借を対象にした新たな「長期の空家等の媒介特例」も創設されます。

賃貸借取引の場合、原則の報酬上限は「借主と貸主の合計で1カ月分の賃料×1・1の金額以内」となります。

長期間使用されていない、または将来使用の見込みがない空き家は「貸主から原則による上限を超えて報酬を受領できる」とし、特例を適用した場合の報酬は「合計して1カ月分の賃料×2・2」までとなります。

報酬額全体は1カ月分の賃料の2・2倍へ増えますが、新たに上乗せできるのは貸主からの報酬のみとなります。

※市場に出ていない空き家を流通させることを考えた場合に、賃料設定のための物件調査業務など、通常の賃貸仲介では発生しない貸主側の業務が増えるための措置です。

国土交通省発表資料

出典:国土交通省

001750229.pdf (mlit.go.jp)

■ まとめ


報酬規定の改正の目的は、宅地建物取引業者による空き家ビジネスへの積極参加を促すことです。

国土交通省は、この改正により空き家の流通を促進し、特に地方部での空き家問題の解決に貢献することを目指しています。

このため、報酬の改正が空き家問題の解決につながると考えられており、地方の空き家の有効活用が進むことが期待されます。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)パイオニア(先駆者)を目指しています。

1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。

●ご売却をご検討の方は、こちらをご参照ください。

●賃貸をご検討の方は、こちらをご参照ください。

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