お問い合わせ・お見積りはこちらから

0466-82-5511

NEWS

12.122025

不動産売買「法改正によりカーポートにも確認申請が必要なのか」、を考える

■ 目次

  • ■ はじめに
  • ■ 確認申請とは
  • ■ 建築基準法改正前後の違い
  • ■ 改正の背景と目的
  • ■ 改正前のカーポートは?
  • ■ 固定資産税はどうなる?
  • ■ 確認申請が必要となる外構
  • ■ カーポートの緩和措置
  • ■ まとめ

■ はじめに


土地や土地・建物を購入する場合、車をカーポートに停めたいと考える方は少なくありません。

屋根や外壁があれば車に汚れもつかず、長持ちもします。しかし、今年(2025年)の4月の建築基準法改正により、カーポートが設置できなくなる可能性が出てきています。

この建築基準法改正によりカーポートなどの外構設備も「建築物の一部」として、建築確認の対象として扱われるケースもあり、今後土地や土地・建物を購入する方は知らずに違反扱いにならないよう、事前の確認が必要となります。

そこで今回は、建築基準法の改正によりどのような変化が生じてくるのか、を考えてみます。

■ 確認申請とは


確認申請とは、建築物を建築する場合や建築物の大規模工事を行う場合、または用途を変える場合、その計画が「建築基準法」など建物に関する基準に適合しているか、特定行政庁や民間機関(指定確認検査機関)に審査してもらう手続きのことをいいます。

この確認申請が下りると「確認済証」が交付され、工事に着手が可能となります。

■ 建築基準法改正前後の違い


改正前では「建築物」とみなされないカーポートが多く、10㎡以下、独立している、母屋と離れており、増築とはみなされないものなど、確認申請が不要なケースが多く、簡易的に設置されていました。

また、10㎡を超えるカーポートの場合でも、申請が不要な場合もありました。

しかし、今回の改正では、 カーポートも「建築物」とみなされることになり、建築基準法が適用されることになりました。

また、10㎡超のカーポートは、面積に関わらず原則確認申請が必要になり、防火地域・準防火地域での規制強化: これらの地域では、10㎡以下でも確認申請や防火措置が求められることになりました。

■ 改正の背景と目的


建築基準法には建築物の分類として1号建築物〜4号建築物に分類されており、4号建築物は木造・2階建以下・延べ床面積500㎡以下といった、比較的小規模な建物が対象であり、一戸建住宅の大半は、この4号建築物に該当します。

改正以前では、この4号特例により構造や採光、省エネなど一部の審査が免除されていました。

また、建築士の設計という条件さえ満たせば、確認申請が簡略化されていたのです。

しかし、こうした“特例”が安全性の低下を招くケースが増加。特に外構部分の施工においては、「確認不要」と判断されるがゆえに設計基準を逸脱した設置がなされ、事故や苦情の原因になることもありました。

そのため、2025年4月からは4号建築物制度が廃止され、「新2号建築物」「新3号建築物」として、より広範囲に審査が行われるようになります。

しかし、建築基準法の改正では、カーポート設置時の確認申請は、10㎡以下でも防火地域などでは必要になり、耐風性・採光・道路斜線規制などの基準が厳格化され、建ぺい率への算入も必要となりました。

この改正により構造計算が必須となるとともに違反した場合、住宅ローンや補助金に影響があり、将来的な売却が困難になるなど、リスクが高まることになります。

■ 確認申請が必要となるカーポート


建築基準法に定められた建築物の定義については、次の3つの条件をすべて満たすものとされています。

① 屋根がある

② 柱で支えられている

③ 地面に固定されている

以上の3つの条件を満たすカーポートは、建築物であり、建築前に建築確認申請が必要となります。

また、カーポートの設置にあたっては構造だけでなく、敷地の広さ・土地の形状・防火地域など周辺環境も大きく関わります。

■ 改正前のカーポートは?


建築当時は建築基準法等に違反しておらず適合していたものがその後の法改正により現行基準に合わなくなった建物を「既存不適格建築物」といいます。

この「既存不適格建築物」は、現行のまま使用している限り、原則として撤去や是正の対象とはなりません。

一方、建築確認をせずに設置されたカーポートは、建築基準法等に違反している場合があります。

このような場合、「既存不適格建築物」とは

ならず違法建築物とみなされる場合があり、是正指導や撤去を求められる可能性もあるため注意が必要です。

■ 固定資産税はどうなる?


「確認申請をすると固定資産税が増えてしまう。」と考えがちですがすべてが固定資産税が課税されるわけではありません。

基本、カーポートは固定資産税の課税対象とはなりません。

課税対象となるカーポートは、以下の3つの条件がすべてを当てはまる場合です。

① 屋根がある

② 三方向以上を壁で囲んでいる

③ 地面に固定されていて、簡単には移動できない構造になっている

■ 確認申請が必要となる外構


カーポートにスポットを当ててきましたが、このカーポート以外にも次のような設備は確認申請が必要となる場合がありますのでご注意ください。

① 小屋や物置

② 屋根付き駐輪場

③ 屋根付きテラス

④ ウッドデッキ

⑤ 屋外用のトイレや流し台

以上の設備は、建築基準法に定められた建築物の定義である①屋根がある、②柱で支えられている、③地面に固定されている、ということです。

■ カーポートの緩和措置


カーポートにより面積が「建ぺい率」や「容積率」に影響を与える場合がありますが、一定の要件を満たせば建ぺい率の緩和措置は継続しています。

主な緩和条件は

① 柱の間隔が「2m以上」であること

② 天井の高さが「2.1m以上」であること

③ 外壁のない部分が連続して「4m以上」あること

④ 地階を除く階数が「1」であること

 また、カーポートも車庫も

「敷地内における建築物の延床面積の5分の1を限度として延床面積に算入しない」という容積率の「緩和措置」も設けられています。

 しかし、これらの緩和措置は自治体によって内容が異なる場合がありますので、注意が必要です。

■ まとめ


「カーポートは母屋の建築が完了した後、作ればいいや」など考えがちな設備です。

しかし、建築基準法改正により「建築物」とみなされ、建ぺい率に影響する場合もあります。

建築面積に算入され、建ぺい率オーバーで違反扱いになる場合があり、その場合には自治体から是正や撤去を命じられることがありますので、事前に必ず専門家に確認することをおススメします。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)パイオニア(先駆者)を目指しています。

1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。

●ご売却をご検討の方は、こちらをご参照ください。

●賃貸をご検討の方は、こちらをご参照ください。

#不動産 #売買 #不動産売買 #建築基準法改正 #カーポート #確認申請