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1.272025

不動産売買「建ぺい率」とは何か、を考える

■ 目次

  • ■ はじめに
  • ■ 建ぺい率とは
  • ■ 建ぺい率が設定されている理由
  • ■ 建築面積に参入されない部分と緩和される部分
  • ■ 建ぺい率は緩和と規制を受けない場合
  • ■ 2つの地域にまたがっている場合
  • ■ まとめ

■ はじめに


不動産を購入する場合、不動産業者の営業担当者より売り出されている物件の見学をさせてもらうことがあります。

売りに出されている物件の周りはほぼ同規模の建物が建ち並んでおり、駅に近くになるにつれ建物が大きくなっていくことを感じている方は多いはずです。

これは、行政庁の定める都市計画にもとづいて用途地域が指定され、建築基準法により建ぺい率や容積率が定められているため、地域のより建物が建築できる大きさが異なります。

土地を購入して自宅を建築しよう!と検討している方の中には、「建ぺい率」「容積率」というものを理解出ないうちに購入されている方も少なくないはずです。

土地に建物を建築する場合、「建ぺい率」・「容積率」など聞きなれない言葉も登場します。

そこで今回は、「建ぺい率」・「容積率」などある中から、「建ぺい率」について考えていきます。

■ 建ぺい率とは


建ぺい率とは、建築面積の上限を求める際に使う指標であり、建築面積の敷地面積に対する割合です。

この建築面積の敷地面積に対する割合は、建ぺい率は次のような計算式で算出します。

建ぺい率(%) = 建築面積 ÷ 敷地面積 × 100

建ぺい率は30~80%の範囲で、都市計画法上の用途地域や都市計画に応じて上限が定められているほか、角地などの条件や建造物の種類によっても上限が異なります。

例えば、敷地面積300㎡の土地に住宅を建築したい場合、建ぺい率の上限が50%の地域であれば最大で建築面積150㎡までの建物を建築可能となります。

※敷地面積

「敷地面積」とは、建物が建築されている敷地全体の面積のことです。敷地面積は、一般的に「土地面積」と呼ばれることの方が多いかもしれません。

建築基準法では、敷地面積を測量する場合、土地や建物の凸凹や斜面が水平であると仮定して「水平投影面積」を使用し、測定するように定めています。

※建築面積

敷地面積が土地の面積を表しますが、建物が建っている部分の面積を表すのが「建築面積」です。

この建築面積も敷地面積と同様に水平投影面積を用いて計測することになります。

ただし、軒、庇、バルコニー等でこの中心線より1m以上突き出たところがあるときは、その先端より1m後退した部分までが建築面積となります。

例えば、バルコニーが外壁より3m突き出ている場合、先端から1m後退した2mまでは建築面積に参入されることになります。

建築面積は、建物を真上から見た際の面積であるため、通常は建物の1階部分を建築面積とし、2階以上の部分が1階よりも広い場合にはもっとも広い階の面積が建築面積となります。

※用途地域

「用途地域」とは、エリアごとに建築可能な用途や規模を制限した規制のことです。
住居系8種類、商業系2種類、工業系3種類の計13種類の用途地域があります。
13三種類の用途地域は、下表の通りです。

【用途地域一覧表】

【建ぺい率と容積率の一覧表】

■ 建ぺい率が設定されている理由


建ぺい率を設定することにより、住宅地では隣地との建物との距離を適正に保ち、日照の障害になる建物を排除するように計画することにつながります。

そしてもうひとつ、建ぺい率は火災の延焼を防ぐといった目的もあり、隣地との建物との距離が近い場合、隣の建物から出火した場合、所有する建物も延焼の危険があります。

よって、建ぺい率の上限は、

①日照や通風、町並みの美観維持のため

②敷地内に一定の空地を確保するため

③火災時の延焼防止や避難経路の確保のため

の理由で設けられています。

また、駅周辺に設定されている商業地域は建ぺい率が住宅地と比べ高く設定されており、これでは、「火災時の延焼防止や避難経路の確保のため」にはならないのでは?と感じられると思います。

商業地域など隣接地建物と密集する地域は防火地域として指定されており、建物自体の耐火性(耐火建築物等)により、隣地の建物が火事になっても延焼し難い構造とすることに規制されているため、隣地の建物に密着して建築できることになっております。

■ 建築面積に参入されない部分と緩和される部分


外壁または外壁に代わる柱で囲われた部分の外であっても建築面積に参入されない部分と緩和できる部分があります。参入されない部分と緩和される部分は、以下のとおりです。

①軒等

②地階

③開放的な構造のもの

①軒等

建築基準法施行令には、軒等(軒・庇・その他これらに類するもの)の取り扱い方法が記載されています。

軒等が、外壁またはこれに代わる柱の中心線から水平距離で「1m」以上突き出ている場合は、その先端から水平距離で「1m」後退した線が建築面積の算定基準になります。

例えば、ひさし部分が外壁の中心線から1.2m突き出している場合には、外壁の中心線から20cmまで、ひさしを建築面積に算入しなければなりません。

この規定は「出窓」などにも適用され、出窓の場合は、以下の条件にも合致している必要があります。

・下端の床面からの高さが、30cm以上であること

・周囲の外壁等から水平距離50cm以上突き出ていないこと

・見付け面積の2分の1以上が窓であること

②地階

地階(地盤面から高さ1m以下の部分に天上があるもの)も建築面積から除外できます。

なお、地階とは「床が地盤面下にある階で、床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さの三分の一以上のもの」と定義されています。

このような地階の上に地階より小さい面積の建物が建っている場合、地階は除外して上の建物のみ建築面積の対象とすればよい、ということです。

③開放的な構造のもの

国土交通大臣が「高い開放性を有する」と認めて指定する構造の建築物は、緩和措置を受けられます。たとえば、カーポートがこれに該当します。

「高い開放性を有する」と認められる条件は、以下のとおりです。

・外壁のない部分が連続して4m以上あること

・柱の間隔が2m以上であること

・天井の高さが2.1以上であること

・1階建てであること(地階を除く)

上述の条件に当てはまる建築物は、水平投影面積のうち端から水平距離で「1m」以内の部分を建築面積から除外できます。

■ 建ぺい率は緩和と規制を受けない場合


用途地域の種類によっては、建ぺい率の制限を受けない場合や建ぺい率の制限を緩和できる場合があります。

建ぺい率の制限を受けない場合として建ぺい率が80%の用途地域(第一種・二種住居地域、準住居地域)かつ防火地域内にある耐火建築物である場合、建ぺい率は100%となります。

また、以下の条件に1つでも該当する場合は、建ぺい率が+10%緩和され、2つに該当する場合、建ぺい率が+20%緩和されることになります。
 
①用途地域の建ぺい率が80%以外、かつ防火地域内にある耐火建築物、またはこれと同等以上の延焼防止機能を有する建築物である場合、もしくは、準防火地域内にある耐火建築物、またはこれと同等以上の延焼防止機能を有する建築物である場合。

②特定行政庁の指定した一定要件を満たす角地である。

特定行政庁が指定した角地などにおける10%の緩和

角地などにおける建ぺい率の緩和は特定行政庁ごとに基準が異なり、自治体の条例などによって具体的な適用要件が定められています。

適用要件には、2つの道路が交わる角度や、敷地と道路が接する長さの割合、敷地面積の上限などがあり、角地であれば必ず緩和されるということではありませんから注意が必要です。

両面道路の場合や、片方が公園や河川などに接する場合に「角地に準ずるもの」とみなして緩和するかどうかなども、特定行政庁によって異なります。

■ 2つの地域にまたがっている場合


建築物の敷地が建ぺい率の制限をうける地域または2つ以上の区域にわたる場合

各地域または区域に存在する敷地の部分の面積比に基づいた加重平均により算定された建ぺい率が最高限度となります。

《 敷地が2つの区域にわたる場合の例 》

敷地が2つ以上の地域にまたがる場合、それぞれの地域の面積により、加重平均されたものとなります。

※建ぺい率の加重平均とは

上記の図の場合、建ぺい率の計算は次のとおりとなります。

80%(8/10)×300㎡/500㎡+60%(6/10)×200㎡/500㎡

=24/50+12/50=36/50=72/100(建ぺい率:72%)

■ まとめ


建ぺい率は、商業地域を除く地域の建ぺい率は都市計画によって定められており、地域によって異なります。

不動産を売買する際には、必ずこの用途区域と建ぺい率については確認しておく必要があります。

購入した土地において建ぺい率により、希望の建物が建てられない、と言うことも考えられます。

不動産の売買おいて用途区域と建ぺい率については理解しておくことをおススメします。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)パイオニア(先駆者)を目指しています。

1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。

●ご売却をご検討の方は、こちらをご参照ください。

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