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2.102025

不動産売買「容積率」とは何か、を考える

■ 目次

  • ■ はじめに
  • ■ 容積率とは
  • ■ 容積率が設定されている理由
  • ■ 延べ床面積に参入されない部分と緩和される部分
  • ■ 2つの地域にまたがっている場合
  • ■ まとめ

■ はじめに


不動産を購入する場合、不動産業者の営業担当者より売り出されている物件の見学をさせてもらうことがあります。

売りに出されている物件の周りはほぼ同規模の建物が建ち並んでおり、駅に近くになるにつれ建物が大きくなっていくことを感じている方は多いはずです。

これは、行政庁の定める都市計画にもとづいて用途地域が指定され、建築基準法により建ぺい率や容積率が定められているため、地域のより建物が建築できる大きさが異なります。

土地を購入して自宅を建築しよう!と検討している方の中には、「建ぺい率」「容積率」というものを理解出ないうちに購入されている方も少なくないはずです。

土地に建物を建築する場合、「建ぺい率」・「容積率」など聞きなれない言葉も登場します。

そこで今回は、「建ぺい率」・「容積率」などある中から、「建ぺい率」について考えていきます。

■ 容積率とは


容積率とは、延べ床面積の敷地面積に対する割合のことです。

この延べ床面積の敷地面積に対する割合は、建ぺい率は次のような計算式で算出します。

容積率(%) = 延べ床面積 ÷ 敷地面積 × 100

延べ床面積は建物すべての階の床面積を合計した面積のことで「建物面積」とも呼ばれており、延べ床面積が大きければ、比例して容積率も大きくなります。

容積率には、指定容積率と基準容積率の2種類が存在します。

指定容積率とは、土地の用途地域に応じて建物の容積率の最高限度が決まっている制度です。都市計画で用途地域ごとに、50%〜1300%の範囲で制限されています。

※名古屋には2000%の容積率が指定されました。

指定容積率は市区町村によって異なるため、各市町村にて確認が必要です。

一方の基準容積率は、前面道路の幅が12m未満の場合に、道路の幅に応じて定まる容積率のことです。道路幅が狭く、基盤整備が不十分な地域に、容積の高い建築物の乱立を抑えるための規定です。

※敷地面積

「敷地面積」とは、建物が建築されている敷地全体の面積のことです。

敷地面積は、一般的に「土地面積」と呼ばれることの方が多いかもしれません。

建築基準法では、敷地面積を測量する場合、土地や建物の凸凹や斜面が水平であると仮定して「水平投影面積」を使用し、測定するように定めています。

※延べ床面積

延床面積とは、建物の全ての階の床面積を合計した面積のことです。

居住スペースの広さを表しており、建物面積とも呼ばれています。

建物を建てるときなどの建築確認申請や登記、売買、解体する時など、建物の面積が必要な時の基準となります。

面積を出す際は、壁あるいは柱の中心を基準として算出します。

※用途地域

「用途地域」とは、エリアごとに建築可能な用途や規模を制限した規制のことです。
住居系8種類、商業系2種類、工業系3種類の計13種類の用途地域があります。
13三種類の用途地域は、下表の通りです。

【用途地域一覧表】

【建ぺい率と容積率の一覧表】

■ 容積率が設定されている理由


容積率には、建ぺい率と同じように「防火対策」「風通し、日当たりの確保」「景観を守る」という役割があります。

低層階の立ち並ぶ地域において10階建ての大きな建物が建築された場合、風通しや日当たりが悪くなってしまいます。

また、容積率に規制を設けない場合、高層ビル街のようになってしまう可能性があります。

容積率があることでその区域の景観が保たれ、住みやすい環境が守られています。

■ 延べ床面積に参入されない部分と緩和される部分


延床面積に参入されない部分

延床面積は、建物すべての階の床面積の合計のことですが、建築基準法により延床面積には含まれない箇所があります。

①吹き抜け

吹き抜けの上階部分には床がないため、一つの部屋として使用することはできない、と判断され、延床面積に含まれません。

②ベランダ、バルコニー、玄関ポーチ

手すりや外壁などで囲まれていない玄関ポーチ、バルコニーやベランダは延床面積には含まれません。ただし、ベランダやバルコニーは外壁から2mを超える場合、超えた部分は延床面積に算入されます。

③ロフト

ロフトは小屋裏収納ともいいます。一定の基準を満たせば、延床面積には含まれません。

《延床面積に含まれない基準》

・天井高1.4m以下

・設置する階の床面積の1/2以下の面積

・はしごが固定されていない

④ビルトインガレージ

天井があり、壁で覆われている駐車場は延床面積に含まれます。ただし、屋内にあるビルトインガレージは、建物の延床面積の1/5以内の広さであれば緩和措置の適用範囲となり、延床面積から除外されます。1/5を超えた部分については、延床面積に算入されます。

⑤出窓

出窓も基準内であれば延床面積には含まれません。

《延床面積に含まれない基準》

・床面から出窓の下までの高さが30cm以上

・外壁面から出た水平距離が50cm未満

・見付面積の半分以上が窓

⑥屋外階段

屋外に設置されている階段は、一定条件を満たせば延床面積に含まれません。

《延床面積に含まれない基準》

・屋外階段の周長の1/2以上が外部に開放

・階段の天井から手すりや壁までの高さが1.1m以上、かつ、階段の外部に開放されている部分が、天井の高さの1/2以上

前面道路の幅員による影響(基準容積率)


土地で建てられる建物の大きさは、一般的に地区ごとに定められた容積率によって制限されます。

しかし、その土地が接している接面道路の幅員によっても、容積率は変化することがあります。

これを「基準容積率」と呼びます。

ここでは、接面道路の幅員が土地の容積率にどのような影響を与えるかを解説します。

容積率の前面道路の幅員による制限

まず前面道路の幅員が12m未満か以上かで、制限の有無が異なります。

●前面道路幅員12m未満に場合・・・・・制限あり

●前面道路幅員12m以上の場合・・・・・制限なし

前面道路幅員が12m未満の場合の影響

接面道路の幅員が12m未満の場合、容積率に特定の制限が適用されます。

この場合、地区ごとに定められた指定容積率と、下記表の接面道路幅員に基づく容積率限度のうち、低い方が敷地の容積率の上限となります。

上記表により指定容積率が200%、接面道路幅員が4mの土地で第一種低層住居専用地域にある場合、接面道路幅員による容積率限度は4m × 0.4 = 160%になります。

ただし、接面道路幅員が同じ条件で、指定容積率が150%の土地の場合、その土地の容積率上限は150%となります。

これは、接面道路幅員に基づく容積率限度が160%であっても、指定容積率の方が低いためです。

容積率は接面道路幅員による容積率限度と指定容積率の両方を考慮し、両者のうち低い方が容積率の上限となります。

※接面道路幅員が4m未満である場合、道路中心線から2mまたは道路の反対側から4mのセットバックがあった場合、接面道路幅員を4mとみなして0.4または0.6を乗じることになります。

■ 2つの地域にまたがっている場合


建築物の敷地が容積率の制限をうける地域または2つ以上の区域にわたる場合

各地域または区域に存在する敷地の部分の面積比に基づいた加重平均により算定された容積率が最高限度となります。

《 敷地が2つの区域にわたる場合の例 》

敷地が2つ以上の地域にまたがる場合、それぞれの地域の面積により、加重平均されたものとなります。

※容積率の加重平均とは

上記の図の場合、容積率の計算は次のとおりとなります。

まず、各用途別の容積率を算出します。

商業地の指定容積率は400%、基準容積率は道路幅員により360%であり、規制の厳しいほうを選択しますので、360%となります。

一方、第1種住居地域の指定容積率は200%、基準容積率は道路幅員により240%であり、規制の厳しいほうを選択しますので、200%となります。

360%(36/10)×300㎡/500㎡+200%(20/10)×200㎡/500㎡

=108/50+40/50=148/50=296/100(建ぺい率:296%)

■ まとめ


容積率の限度は、指定容積率と基準容積率のいずれか小さい方となります。

敷地が2以上の用途地域にわたる場合の容積率は、それぞれの地域の容積率を面積で加重平均して求めます。

不動産を売買する際には、必ずこの用途区域と容積率の指定容積率と基準容積率については確認しておく必要があります。

購入した土地において基準容積率を考えずに購入した場合、希望の建物が建てられない、と言うことも考えられます。

不動産の売買おいて用途区域と建ぺい率については理解しておくことをおススメします。

※容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地については、相続税評価額を減額することが可能です。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)パイオニア(先駆者)を目指しています。

1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。

●ご売却をご検討の方は、こちらをご参照ください。

●賃貸をご検討の方は、こちらをご参照ください。

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