お問い合わせ・お見積りはこちらから

0466-82-5511

NEWS

10.112024

相続の疑問(借地権は相続されるのか)

目次

  • ■ はじめに
  • ■ 借地権とは
  • ■ 借地権は相続財産
  • ■ 相続手続きを行わない場合
  • ■ 土地賃貸借契約を継続する場合
  • ■ 賃貸借契約を解約したい場合
  • ■ まとめ

■ はじめに


借主が亡くなり、その借主が借地権の権利を有している場合、土地賃貸借契約はどうなるのでしょうか。

借地権は、相続財産として相続の対象となるため、相続人が土地賃貸借契約を継続し、建物の名義変更をする場合、遺産分割協議を行い、相続人を確定し、貸主に通知しなければなりません。

また、土地賃貸借契約を解約する場合にも相続人が手続をしなければなりません。

そこで今回は、借主が亡くなったときの借地権の相続関係について考えていきます。

■ 借地権とは


借地権とは「土地の所有者などから建物所有の目的をもって土地を賃借し、地代を支払うことにより得る権利を言います。
土地の所有者など貸主は、地主や底地権者や借地権者と呼ばれ、借主は、借地権者と呼ばれることもあります。

■ 借地権は相続財産


相続というと、不動産や預貯金などが相続財産と考えがちですが、借地権も債権の一種のであり、相続財産として相続の対象になります。

被相続人が借地権を有する建物を所有していた場合、建物のみに限らず、土地を利用するための権利「借地権」も相続財産となり、建物の所有権と借地権とが併せて相続されることになります。

※万一、建物と借地権とが併せて相続人に相続できない、となった場合、借地上にある建物を相続した相続人はその借地を何ら根拠もなく使用している状態となります。

※遺産分割協議書において「借地権」と「対象となる建物」を明記する必要が生じます。

亡くなった方が、借地権にもとづき建物を所有している場合、土地賃貸借契約にもとづき借主の地位は「法定相続人」へ引き継がれます。

※相続人は、貸主の同意を得なくても貸主に対して借地権を主張できます。

●貸主側から退去請求や承諾料の請求はできない

借地権を譲渡する場合、貸主の承諾を得ないと、その譲渡は認められません。しかし、相続の場合、地主の承諾は必要ありません。

よって、名義変更手数料および承諾料は発生しないということです。

ただし、契約書の内容や過去の地代などの支払い状況などにより、貸主から金銭の要求をされる場合があります。

●遺贈の場合

相続と間違われやすい言葉に「遺贈」があります。

借地権の相続には名義変更手数料および承諾料は発生しないことはお伝えしたとおりです。

しかし、遺贈の場合は、借地権の譲渡と同じく貸主に対し、承諾が必要となり、名義変更手数料および承諾料が必要となります。

遺贈:遺言書により、法定相続人以外の者が遺産を取得すること。

■ 相続手続きを行わない場合


借地権の相続において相続手続きを行わない場合、次の問題が発生する場合があります。

①相続人が共有で相続したと扱われる場合があること。

②土地賃貸借契約の更新時に、借主が特定できないこと。

③建替えの承諾の際、その他の相続人の意思の確認を指示されること。

④建物解体の場合、その他の相続人の意思が判断できずに解体できないこと。

以上の他、借主の意思決定の場合、貸主は相続人全員の意思決定であるのかを、確認するため問題となることがあります。

よって、相続の場合には必ず借地権と建物の相続手続きを早めに行うことが必要です。

■ 土地賃貸借契約を継続する場合


被相続人の建物と借地権を相続する場合、相続人は建物と借地権の相続についての手続きが必要になります。

①遺産分割協議で相続人を確定する。

不動産や預貯金などの相続財産と同様に、建物と借地権についても相続人を確定する遺産分割協議が必要となります。

※遺言がある場合には遺産分割協議は不要となる場合があります。

②賃借権の相続人を貸主へ通知する。

建物と借地権の相続人が決まったら、新借主を貸主や不動産管理会社に伝えます。

賃貸借契約を引き継ぐため、新借主として貸主との間にて名義変更および被相続人が貸主と締結していた契約の内容を引き継ぐ覚書を締結します。

※従前の契約内容が新借主へそのまま引き継がれます。

※相続に伴い遺産分割協議の成立によって賃貸借契約が引き継がれるため、新たに賃貸借契約を締結する必要はありません。但し、若干の覚書作成費用はかかる場合があります。

■ 賃貸借契約を解約したい場合


相続人が借地権を引き継がない場合は、解約手続きを行う必要があります。

借地権の場合、法的には当事者の合意により、借主により建物を解体し、契約を解除することは問題はありません。

ただし、税務的には問題生じます。貸主、借主ともに個人の場合、無償で変換した借主には課税関係は生じませんが、貸主には原則として借地権相当額の授与を受けたものとして贈与税が課税されます。

課税関係が生じない場合として次の理由がある場合とされています。

①借地権設定時に無償返還届出書が所轄税務署に届けられている場合(個人間には適用できません。)

②土地の使用目的が、単に物品置場、駐車場等として土地を更地のまま使用し、又は仮営業所、仮店舗等の簡易建物の敷地として使用していた場合

③借地上の建物が著しく老朽化したことその他これに類する事由で、借地権が消滅し、又はこれを存続させることが困難であると認められた場合

④借地権設定時に相当の地代の支払を行い、その後その土地の価額上昇に応じて順次相当の地代を改定する旨の届出書が所轄税務署に届けられている場合

その他、借地権を解約(返還)する方法として

①貸主などに借地権を買い取ってもらう方法

②貸主の承諾を得て、底地と借地を併せて売却する方法

などがあります。

■ まとめ


借地権は債権であり相続財産となります。
そのため、相続手続きを疎かにしていると、思わぬトラブルに発展する場合もあります。

相続手続き、借地権の返還、どれをとっても専門的知識が必要となります。

土地を借りているだけ、という認識の方は意外と多く、このような借地権の相続に関するトラブルは少なくありません。

かならず専門家に相談をして早めに貸主へ連絡をすることをおススメします。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)パイオニア(先駆者)を目指しています。

1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。

●ご売却をご検討の方は、こちらをご参照ください。

●賃貸をご検討の方は、こちらをご参照ください。

#不動産 #賃貸 #賃借権 #相続 #遺産分割 #遺産分割協議 #相続財産 #賃借権は相続財産

#配偶者 #内縁 #居住権 #賃借人死亡 #賃貸人への承諾 #借主死亡 #貸主承諾 #借地権 #借地権相続 #債権