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NEWS

8.252023

コラム

空き家対策特別措置法改正②

空き家対策特別措置法(以下、「空き家法」という。)の一部改正にあたり、前回お伝えしました改正以前の空き家法の復習および施行後の状況に続きまして、今回、改正点をお伝えします。

今回の改正にあたり、前回お伝えしたとおり、2015年3月空き家法の施行後、特定空家に指定されても、実際に何らかの処理されるわけでは無いというのが結果であり、空き家は増え続けている状況です。

改正以前の「空き家法」は、

①倒壊の危険があるような「特定空き家」に認定された物件への対応が主となっているため、行政も対応に苦慮していた状況

②空き家法は、5年を経過する時に見直しを行うことが附則で定められていました

ので今回の改正となりました。

今年3月3日に閣議決定された「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」を見ると、以下のとおりの発表されています。

改正の理由

空家等の適切な管理及びその活用を一層促進するため、空家等活用促進区域に関する制度の創設、適切な 管理が行われていない空家等に対する措置の拡充、空家等管理活用支援法人の指定制度の創設等を行う必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

1.背景
  近年、空き家の数は増加を続けており、今後、更に増加が見込まれる中、空き家対策の強化が急務となっております。
 この法律案は、こうした状況を踏まえ、周囲に悪影響を及ぼす特定空家等の除却等の更なる促進に加え、周囲に悪影響を及ぼす前の段階から空家等の有効活用や適切な管理を確保し、空き家対策を総合的に強化するものです。
 
2.法律案の概要
(1) 所有者の責務強化
       – 現行の適切な管理の努力義務に加え、国、自治体の施策に協力する努力義務を追加

(2) 空家等の活用拡大
 ①空家等活用促進区域
       – 市区町村が空家等活用促進区域及び空家等活用促進指針を定めた場合に接道規制や用途規制を合理化し、用途変更や建替え等を促進
       – 市区町村長は、区域内の空家等の所有者等に対し指針に合った活用を要請
  ②空家等管理活用支援法人
       – 市区町村長は、空家等の管理や活用に取り組むNPO法人、社団法人等を空家等管理活用支援法人と           して指定

 ③空家等の管理の確保
       – 市区町村長は、放置すれば特定空家等になるおそれがある空家等を管理不全空家等として、指導、勧告
       – 勧告を受けた管理不全空家等の敷地は固定資産税の住宅用地特例を解除

 ④ 特定空家等の除却等
       – 市区町村長に特定空家等の所有者等に対する報告徴収権を付与
       – 特定空家等に対する命令等の事前手続きを経るいとまがないときの緊急代執行制度を創設
       – 所有者不明時の略式代執行、緊急代執行の費用徴収を円滑化
       – 市区町村長に財産管理人の選任請求権を付与

以上の「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」より改正された大きなポイントは次の5つです。

ポイント1 所有者の責務強化

「空き家」の管理は、所有者が適切に行うべきであり、従前の空き家法では「適切な管理に努める」に対する努力義務でしたが、改正後では「国・自治体の施策に協力するよう努めななければならない。」という協力義務が追加されました。これにより、改正以前では、国や地方自治体の施策に対して、対応できれば対応します。が、理由なく対応しないことが許されなくなりました。

ポイント2 空き家の活用拡大

市区町村が、中心市街地や地域の再生拠点、観光振興地区などの「空き家等活用促進地域」の指定権限を持つことになり、また、同地域の指定や空き家等活用促進指針を定め、用途変更や建て替えなどを促進できるように、接道規制や用途規制の合理化を図ることができるようになりました。

また、市区町村長は、区域内の空き家等所有者らに対して、指針に沿った活用を要請することができるようになります。さらに空き家等の管理・活用に取り組むNPOや社団法人などの団体を、市区町村長は「空き家等管理活用支援法人」に指定できるようになります。空き家対策は地域促進につながることから、地方自治体への権限移譲が図られます。

ポイント3 管理不全空き家の新設

今回の改正で最も大きなポイントは、空き家等が適切な管理行われないことにより、今後特定空き家等に該当する恐れがあることが認められる場合、「管理不全空き家」というカテゴリーを設け、指定、監視することになりました。

これまで「特定空き家」になるまで対応しにくかった、行政による改善の指導・勧告が行えるようになる、ということです。

なお、「管理不全空き家」が空き家となってからどのくらいの年月かなどは正式に発表されておりません。

ポイント4 管理不全空き家は固定資産税の減免解除

勧告を受けた「管理不全空き家」は、固定資産税が1/6に減額される住宅用地特例が解除されます。
これまで、相続で親が住んでいた家を引き継ぎ、その家に住まず空き家となっているような状況で、相続人(例えば子ども)がその土地を保有しながら減税措置を受け続けるために、家をそのまま放置するようなケースが散見されていました。このように「減税処置を受けるために放置された空き家」が、その後「特定空き家」となってしまうわけです。そこで、今回の改正では、住宅の状態が悪化する前の段階からこうした措置を厳格化することで「空き家管理の確保」を図り、周辺住民の住環境を維持しようというわけです。

ポイント5 特定空き家の除却などの円滑化

市区町村長に「特定空き家」に関する報告徴収権が与えられます。これにより資料の提出などを求めることができ、勧告等が円滑に行われるようにします。
また、除却などの代執行が円滑に進むように、命令等の事前手続を経る時間がない緊急時の代執行制度が創設され、所有者不明時の代執行、緊急代執行の費用は、確定判決なしで徴収できるようになります。

2015年の空き家法により、空き家に対する改善がより求められるようになりました。

この間にさまざまな問題点や改善点も出てきました。また、5年を経過する時に見直しを行うことが附則で定められており今回の改正となりました。

今回の改正において、特に注意しなくてはならないのは、ポイント3管理不全空き家の新設およびポイント4管理不全空き家は固定資産税の減免解除です。

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先述したとおり、空き家となってからどの程度の時期に「管理不全空き家」として指定されるかは不明ですが、指定されると固定資産税の減免が解除されますので、空き家をご所有されている方は早急な対応が必要となります。

空き家を減らすことに厳しさが増した「空き家法」です。

「空き家」を所有されている方にとっては、「どうすればいいのか分からない」と思われる方も多いでしょう。飯島興産など、専門家への早めのご相談をお勧めします。

国土交通省による空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律リーフレット

■記事の投稿者 

飯島興産有限会社 飯島 誠

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