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NEWS

10.22023

コラム

オーナーのためのインボイス制度

10月1日からインボイス制度がはじまりました。


インボイス制度とは、

消費税の納税にかかわる制度。事業者向けの賃貸経営をしているオーナーに大きな影響があります。

では、インボイス制度とはどういうものなのか、どういった対応が必要なのかを考えていきます。

インボイス制度とは「適格請求書(インボイス)」を保存することで、仕入税額控除を受けられる制度です。これまでは今までの課税事業者は、仕入れ先が課税事業者・免税事業者のどちらであっても、仕入れ額に係った消費税分を仕入れ税額控除の対象とすることができました。しかし、インボイス制度の導入後は適格請求書が保存されていない場合、仕入税額控除を受けられなくなります。

※インボイスを発行できるのは課税事業者。

課税事業者と免税事業者の区別は、基準期間(個人事業者は前々年、法人は前々事業年度)の課税売上高で判定されます。

基準期間の課税売上高が1,000万円を超えている場合は課税事業者となり、消費税を納付します。

また、特定期間の課税売上高、または支払った給与等の金額が1,000万円以上の場合も課税事業者となり、消費税を納めることになります。

特定期間とは、原則、法人はその事業年度の前事業年度が開始した日以後6カ月の期間をさし、個人事業者はその年の前年の1月1日~6月30日までの期間をさします。

基準期間または特定期間において、課税売上高が1,000万円を超えない個人事業主または法人は免税事業者となり、消費税の納付を免除されます。

賃貸住宅を経営するオーナーの場合、居住用の賃貸住宅は非課税であるため、免税事業者である場合が多く、インボイス制度には影響はありません。

注意が必要なのはオーナーが免税事業者でありながら、課税売上もある場合です。

例えば店舗・事務所・月極駐車場、太陽光発電などの課税の対象となる物件を賃貸している場合で借主が課税事業者の場合などが当てはまります。

■テナントが免税事業者の場合には対策が必要ない


オーナーが免税事業者で課税売上があっても、テナントが免税事業者という場合はインボイス制度で対策することは特にありません。

これは、免税事業者ならば仕入税額控除を利用しないため、インボイスの発行を求められないからです。

■テナントが課税事業者の場合には対策が必要


テナントが課税事業者である場合、テナントが仕入税額控除をするためにはオーナーのインボイスの発行が必要となります。

この場合、オーナーに対し、インボイスの発行を求めてくる可能性が高いため、オーナーは対応策を考えておく必要があります。

対応策1:インボイス登録事業者(課税事業者)となる

売上が1,000万円以下の免税事業者でも、あえて課税事業者になることができます。インボイスの登録をすれば、テナントに対して適格請求書(インボイス)を発行できるようになります。

課税事業者になってインボイスを発行すれば、テナントは仕入税額控除を問題なく行えますから、退去する可能性は低くなることが見込まれます。オフィスやテナントといった事業用物件の割合が多いオーナーは、課税事業者になることを検討してみるのも一案です。

なお、簡易課税制度を利用することで、事務負担を軽減することができます。

※簡易課税制度とは、基準期間(個人事業者は前々年、法人は前々事業年度)の課税売上高が5,000万円以下である中小事業者の事務負担を軽減するために設けられた制度です。

簡易課税では、業種ごとに定められた「みなし仕入率」を売上の税額にかけて計算するため、仕入税額控除の計算を簡単にできるようになります。オーナーの場合は、事業区分が第六種の不動産業に該当するため、みなし仕入率は40%となります。

ちなみに、消費税の申告に際して、仕入れや経費の消費税額の実額計算やインボイスの保存は必要ありません。

対応策2:免税事業者のまま対応する

オーナーが免税事業者の場合、インボイスの発行はできません。

テナントは仕入税額控除を利用できないため、インボイスを発行できる課税事業者が経営するほかの賃貸物件に移ってしまうかもしません。あるいは、消費税分を賃料から減額することを求められる可能性もあります。オーナーとしては、空室リスクを避けるためにも多少の減額をするなど対応策を考えておくことが必要です。

インボイス制度に対応しなければそのまま免税事業者を継続できますが、事業内容によっては継続が難しくなることも考えられます。取引先が課税事業者である場合は取引に影響が出る可能性があるため、何らかの対応策を考えることをおすすめします。

■まとめ


オーナーの選択は自由ですが、新制度の開始に伴い何も対策を考えないでいると、いま借りている賃貸物件を退去するおそれがあります。

免税事業者のオーナーは、賃貸借契約を継続するため課税業者になって適格請求書発行事業者の登録をするか、これまでどおり免税事業者のままでいるかを決めなければなりません。

課税業者になると消費税の納税が必要ですが、長い目で見ると退去されてしまうよりはよい選択になるかもしれません。

■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

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