お問い合わせ・お見積りはこちらから

0466-82-5511

NEWS

6.52026

不動産売買の必須知識!トラブルを防ぐ「契約不適合責任」のすべてをわかりやすく徹底解説

目次

  • ■ はじめに
  • ■ 契約不適合責任とは?(基礎知識と旧制度との違い)
  • ■ どんな不具合が「契約不適合」になる? 4つの分類
  • 買主が主張できる「4つの権利」
  • ■ 責任を負う「期間」にはルールがある
  • ■ 売主の最善策:「物件状況報告書」の正しい書き方
  • ■ 特殊なケースにおける防衛策
  • ■ まとめ

■ はじめに


不動産の売買は、人生の中でもっとも大きなお金が動く一大イベントです。

それだけに、「引き渡した後に家の中に不具合が見つかったらどうしよう…」「購入した後に欠陥が見つかったら、自己負担で直さなければいけないの?」といった不安を抱える方は少なくありません。

かつて不動産取引では「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」という言葉が使われていましたが、民法改正にともない、現在は「契約不適合責任(けいやくふてきごうせきにん)」という新しい制度に変わっています。

この制度は、売主様にとっても買主様にとっても、取引の安全を守るための非常に重要なルールです。

しかし、中身を正しく理解していないと、引き渡し後に思わぬ法的トラブルや金銭的リスクを抱えることになりかねません。

今回は、不動産コンサルタントの視点から、契約不適合責任の仕組みや、旧制度(瑕疵担保責任)との違い、買主様が請求できる4つの権利、そしてトラブルを未然に防ぐための具体的な対策まで、どこよりもわかりやすく解説します。

契約不適合責任とは?(基礎知識と旧制度との違い)


まずは、契約不適合責任の基本的な考え方と、なぜ制度が変わったのかについて整理しておきましょう。

契約不適合責任の基本的な意味

契約不適合責任とは、一言で言えば

「引き渡された物件が、契約書に書かれた内容(種類・品質・数量)と一致していない(適合していない)場合に、売主様が買主様に対して負わなければならない責任」

のことです。

たとえば、「雨漏りのない健全な建物」として売買契約を結んだにもかかわらず、引き渡し後に雨漏りが発生した場合、それは「契約内容に適合していない」ということになります。

このとき、売主様は「契約通りの状態に直す」などの責任を負わなければなりません。

「瑕疵担保責任」から何が変わったのか?

2020年4月の民法改正前までは、同じような意味合いの責任を「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」と呼んでいました。

旧制度の「瑕疵(かし)」とは、物件に潜む「隠れた欠陥」を指していました。

つまり、

「普通にチェックしただけでは見つからなかった不具合」についてのみ、売主様が責任を負うというルールだったのです。そのため、「何が『隠れた』欠陥にあたるのか」

という基準が曖昧で、しばしば裁判沙汰になるなどトラブルの原因になっていました。

新制度の「契約不適合責任」では、この「隠れていたかどうか(売主様・買主様が知っていたかどうか)」は関係なくなりました。基準は非常にシンプルです。


「契約書に書かれている内容と、実際の物件の状態が一致しているかどうか」

これだけです。

仮に買主様が事前に知っていた傷であっても、契約書に「その傷がある」と明記されていなければ、理屈のうえでは「契約不適合」とみなされる可能性が出てきます。

そのため、現在の不動産取引では、契約書やその附属書類の「正確性」が何よりも重視されるようになっています。

どんな不具合が「契約不適合」になる? 4つの分類


不動産取引において、具体的にどのようなケースが契約不適合にあたるのでしょうか。

民法では大きく分けて「種類」「品質」「数量」「権利」の不適合が定められていますが、不動産の実務で特に重要となる4つの視点(物理的・環境的・心理的・法的)で解説します。

① 物理的な不適合(建物の欠陥や土地の埋設物)

もっともイメージしやすいのが、建物や土地そのものの物理的な不具合です。

建物のケース

雨漏り、シロアリの被害、基礎や柱の腐食、給排水管の詰まりや水漏れ、建物の傾きなど。・

土地のケース

土壌汚染、地中から過去の建築廃材や古い基礎(地中埋設物)が見つかった、地盤沈下など。

② 環境的な不適合(周辺環境のトラブル)

物件そのものには問題がなくても、事前の説明と大きく異なる周囲の環境が原因で、通常の生活が送れないようなケースです。

・近隣に事前の説明にない激しい騒音や異臭を放つ施設がある。

・隣人との間で深刻な境界トラブルや、反社会的勢力の事務所が隣接している。

③ 心理的な不適合(いわゆる事故物件)

買主様が「事前に知っていれば買わなかった」と判断するような、心理的な抵抗感を生じさせる事由です。

・過去にその物件内で自殺、殺人、孤独死(長期間発見されなかった場合など)が発生していた。

・これらは「心理的瑕疵」とも呼ばれ、売主には厳格な告知義務があります。

④ 数量・権利の不適合

契約書に記載された面積や、法律上の権利関係が実際の状態と異なるケースです。

数量の不適合:契約書に「土地面積 200㎡」と書かれていたのに、実際に測量したら 180㎡しかなかった場合など。

権利の不適合:他人の土地を一部含んで売買されていたり、売却された物件に買い手の手続きを阻害するような第三者の抵当権が残ったままになっていたりする場合。

■ 買主が主張できる「4つの権利」


物件に契約不適合が見つかった場合、買主は売主に対して以下の4つのアクション(権利行使)を起こすことができます。旧制度に比べて買主の選択肢が増え、より守られる仕組みになりました。

買主様の権利具体的な内容
① 履行の追完請求
(りこうのついかん)
「直してください」という請求。
雨漏りの修補、シロアリの駆除、設備の修理などを売主の負担で行うよう求めます。
② 代金減額請求
(だいきんげんがく)
「直せない(直さない)なら、その分安くしてください」という請求。
売主が修理を拒否したり、修理が不可能な場合に、不具合の程度に応じて売買代金の減額を求めます。
③ 契約解除
(けいやくかいじょ)
「契約をなかったことにして、お金を返してください」という請求。
住むことができないほどの重大な欠陥があり、修理も不可能な場合、契約を解除して代金の全額返金を求めます。
④ 損害賠償請求
(そんがいばいしょう)
「不具合のせいで発生した余計な費用を支払ってください」という請求。
欠陥のせいで引っ越しを延期せざるを得なくなり発生したホテル代や、別の業者に修理を依頼した実費などを請求します。

※ただし、④の「損害賠償請求」については、売主に「過失(落ち度)」がない場合は請求できません。ここが他の3つの権利(売主の過失がなくても請求できる)と大きく異なる点です。

責任を負う「期間」にはルールがある


売主は、引き渡した後いつまでも無限に責任を負い続けなければならないわけではありません。民法では一定の時間的制限が設けられています。

民法の原則:知った時から1年以内

民法の原則では、「買主が不具合を知った時から1年以内」に売主へ通知しなければならないと定められています。

「引き渡しから1年」ではなく「知ってから1年」であるため、極端な話をすれば、引き渡しから5年後に雨漏りに気づいた場合でも、そこから1年以内であれば請求できることになってしまいます。

これでは売主はいつまでも安心できません。

実務での対応:契約書の特約で期間を制限する

そのため、実際の不動産実務(個人間の売買)では、ほぼ100%の確率で、契約書の中に「期間を限定する特約」を盛り込みます。

一般的には、以下のような期間が設定されることがほとんどです。

個人間売買(既存住宅):引き渡しから「3ヶ月間」(または1ヶ月〜3ヶ月程度)

売主が宅地建物取引業者の場合:引き渡しから「2年以上」
※宅建業法という法律により、プロが売主の場合は一般消費者を保護するため、2年未満に短縮する特約は無効となります。

売主が新築デベロッパーの場合:引き渡しから「10年間」
※「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づき、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分については10年間の保証が義務付けられています。

また、築年数が非常に古い物件や、リフォームを前提とした格安物件などの場合、個人間の取引であれば「契約不適合責任を一切負わない(免責)」という特約を結ぶことも法律上可能です。

トラブルを未然に防ぐための「最強の対策」


契約不適合責任をめぐるトラブルを防ぐため、売主・買主がそれぞれ実践すべき具体的な対策を解説します。

不動産コンサルタントとして、私たちが実務で最も力を入れている部分です。

売主の対策:とにかく「隠さず、すべて契約書に書く」

売主にとって最大の防衛策は、物件の不具合を漏れなく買主に伝え、すべて契約書(および物件状況報告書・設備表)に文字として残すことです。

「リビングのエアコンのリモコンが効きにくい」

「実は数年前に一度、ベランダから雨漏りして修理したことがある」

「網戸の一部に破れがある」

といった、どんなに小さなことであっても、事前に書面で伝えておけば、それは「織り込み済みの契約内容」になります。

契約内容に適合していることになるため、引き渡し後に買主様からクレームや請求を受けるリスクをゼロにできます。

絶対にやってはいけないのは、「不利になるから黙っていよう」と不具合を隠すことです。後から発覚した場合、高額な損害賠償や契約解除に発展するだけでなく、悪質な場合は詐欺罪に問われる可能性すらあります。

買主の対策:「ホームインスペクション(建物状況調査)」を活用する

買主にとっての対策は、契約前に物件の状態をプロの目で客観的にチェックしてもらうことです。そこでおすすめなのが「ホームインスペクション(建物状況調査)」の利用です。

建築士などの専門家が、床下のシロアリ被害や屋根裏の雨漏り跡、レーザーを使った建物の傾きなどをレーダーや目視で調査してくれます。

これを行うことで、購入前に物件の「本当の健康状態」がわかるため、安心して購入に進むことができます。

また、もし不具合が見つかれば、それを踏まえて「購入前に売主の負担で直してもらう」か「その分、購入価格を値引きしてもらう」といった交渉を、契約前に安全に行うことができます。

■ 売主の最善策:「物件状況報告書」の正しい書き方


売主にとって最大の防衛策は、物件の不具合を漏れなく買主に伝え、すべて契約書(および物件状況報告書・設備表)に文字として残すことです。

事前に書面で伝えておけば、それは「織り込み済みの契約内容」となるため、引き渡し後のクレームリスクをゼロにできます。

実務において、売主が記入する「物件状況報告書(告知書)」の書き方のコツと具体的な記載例をご紹介します。

書き方の3大原則

1.「主観」ではなく「客観的な事実」を書く

「大したことはない」ではなく、「いつ」「どこで」「何が起きたか」を記載します。

2.「修理済み」の過去歴もすべて書く

引き渡し後の再発トラブルを防ぐため、過去の修繕履歴も隠さず開示します。

3.「わからないこと」は「不明」と書く

相続物件などで自分が住んでいない場合は、無理に「問題ない」とせず「不明」と正直に記載します。

トラブルを未然に防ぐ!記載例一覧

不具合の項目 トラブルになりやすいNG例契約不適合を完全に防ぐOK例
雨漏り以前、雨漏りがありましたが、現在は直っています。2023年台風の際、リビング南側サッシ上部から雨漏りが発生。同年に防水専門業者にてコーキング補修工事を実施。以降、現在まで雨漏りは確認されていませんが、今後の再発の可能性を含めて現況渡しとします。
シロアリシロアリの被害はありません。2021年の床下点検時、洗面所付近の土台に軽微なシロアリ被害を発見。同年に〇〇シロアリ消毒(株)にて駆除および5年間の防蟻処理(保証期間内)を実施済み。被害のあった土台は現況のままとします。
建物の傾き築年数相応に、多少の傾きはあるかもしれません。建物全体において、経年変化による軽微な傾き(インスペクション調査にて最大1000分の4の傾きを計測)が認められます。買主はこの状態を容認の上で購入するものとし、引き渡し後に傾きを理由とする修補請求等は行えないものとします。
給排水管排水の流れが少し悪いです。浴室の排水口について、一度に大量のお湯を流すと排水が逆流(あふれそうに)なる事象が数年前から発生しています。高圧洗浄等は行っておらず、現況のままでの引き渡しとなります。
境界の不確定隣の人とは仲が良いので問題ありません。北側隣地(〇番〇号)との境界杭が亡失しており、現在現認できません。売主は境界の明示義務を免除され、買主は現況の境界(既存ブロック塀の中心線)を事実上の境界として引き受けるものとします。

※「現況渡し」と書けば大丈夫と誤解されますが、ただ書くだけでは免責になりません。

「どのような不具合(現況)があり、それを買主が『容認(納得)』して買うのか」が書面に明記されて初めて、法的な効力が生まれます。

■ 特殊なケースにおける防衛策


ケースA:「契約不適合責任を負わない(免責)」で売却する場合

民法第572条のルールにより、「売主が『知っていて買主に告げなかった事実』については、いくら契約書で免責と定めていても責任を免れることはできない」と定められています。

「免責だから言わなくてもいいや」と隠すのは絶対にダメです。

誠実に情報開示を行った上で、以下の特約を結びます。

【特約例文:建物契約不適合責任の免責】

売主および買主は、本件建物が相応の品質低下や摩耗・劣化がある経年住宅であることを相互に確認した。売主は、本件建物について、種類・品質・数量に関する契約不適合責任を一切負わないものとする。

買主は、引き渡し後に本件建物に雨漏り、シロアリの被害、木部腐食、給排水管の故障等の不具合(契約不適合)を発見した場合であっても、売主に対し、履行の追完請求、代金減額請求、損害賠償請求および契約の解除をすることはできない。ただし、売主が知っていて買主へ告げなかった不適合についてはこの限りではない。

ケースB:相続した実家などで「物件の詳細を知らない」場合

「親から実家を相続したが、一度も住んだことがなく状態がわからない」というケースは、通常の「3ヶ月保証」で売るとハイリスクです。

以下の3つの防衛策を講じましょう。

1.「最初から全面免責」を条件に売り出す:売却後の予測不能な出費リスクをゼロにします。

2.「建物解体(更地渡し)」を条件にする:建物の契約不適合責任そのものを消滅させます。

3.契約書に「詳細不明であること」を明記する:以下の特約を入れ、購入後のトラブルをブロックします。

【特約例文:相続・非居住物件の容認事項】

買主は、売主が本件物件に一度も居住したことがなく、建物の内部、外部、床下、屋根裏、給排水管の劣化状況および過去の雨漏り・シロアリ被害等の詳細な履歴について一切把握していない状態であることを十分に認識し、これを容認のうえ購入するものとする。

まとめ


契約不適合責任は、一見すると売主に厳しいルールのように思えるかもしれません。

しかし、「物件の状態を正しく把握し、お互いが納得した上で契約書に明記して取引する」という、当たり前のことを求めている健全な制度です。

大切なのは、以下の3点です。

1.「瑕疵(隠れた欠陥)」ではなく「契約内容に合っているか」が基準

2.不具合はどんなに小さくても、すべて書面に記載して共有する

3.個人間売買では、引き渡し後「3ヶ月」などの期間設定(特約)を必ず確認する

4.不動産の売買で後悔しないためには、契約不適合責任の仕組みを正しく理解し、書類作成や物件調査を丁寧に行うパートナー(不動産会社・コンサルタント)を選ぶことが不可欠です。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)パイオニア(先駆者)を目指しています。

1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。

●ご売却をご検討の方は、こちらをご参照ください。

●賃貸をご検討の方は、こちらをご参照ください。

#不動産コンサルタント #不動産売買 #契約不適合責任 #不動産トラブル #マイホーム購入 #家を売る #物件状況報告書 #相続不動産 #現状渡し #中古住宅 #マイホーム計画 #住宅購入 #ホームインスペクション #瑕疵担保責任 #欠陥住宅 #不動産知識 #民法改正 #知って得する法律 #不動産会社選び