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5.292026

借りる側から見た「賃貸の契約更新」:2年に一度の節目を、一人暮らし・ファミリー双方が賢く迎える方法、を考える

目次

  • ■ はじめに
  • ■ お互いの安心のため。そもそも「更新」は何のために行うのか
  • ■ 背景を知ると納得できる?「更新料」の仕組みと地域性
  • ■ 「一人暮らし」と「ファミリー」で異なる、借主の受け止め方
  • ■ 借主として知っておきたい、穏やかで賢いアプローチ
  • ■ まとめ

■ はじめに


多くの人が2年に一度、迎える季節があります。

ポストに投函された一通の封筒。「賃貸借契約更新のお知らせ」という文字を見た瞬間、少しだけ家計のやりくりを考えて身が引き締まる思いがする方も多いのではないでしょうか。

そこに書かれているのは、新しい期間の案内と、一般的に請求される「更新料」の文字です。

引っ越しをするわけでもなく、そのまま住み続けるという選択に対して、なぜまとまった費用が発生するのか、疑問に思ったことがある方もいるかもしれません。

「ただの慣習なのかな?」「少し負担が大きいな」

借主(借りる側)の視点から見ると、家計へのインパクトが大きいイベントであることは間違いありません。

しかし、お互いが気持ちよく賃貸契約を続けるために、この更新制度にはそれなりの理由と背景が存在します。

実は、更新料の仕組みを正しく理解することは、決して貸主側と対立するためではなく、借主側が自分のライフプランに合わせた「賢い選択」をするための第一歩になります。

そこで今回は、一人暮らしとファミリー、それぞれの立場から見た更新の捉え方と、お互いに納得のいく節目を迎えるためのアプローチについて考えてみます。

■ お互いの安心のため。そもそも「更新」は何のために行うのか


まずは契約上の仕組みから整理してみましょう。

日本の一般的な賃貸契約(普通借家契約)は、その多くが「2年間」という期間を定めて結ばれます。

この期間が満了するタイミングで、契約内容を確認し、次の2年間に向けて結び直す作業が「更新」です。

この手続きには、貸主・借主の双方にとって大切な目的が3つあります。

情報の最新化

2年も経てば、入居者の環境が変わることもあります。転職による勤務先の変更や、緊急連絡先の変更、連帯保証人の状況などを最新情報にアップデートし、万が一の際にもスムーズに連絡が取れる状態を作ります。

付随する契約のワンセット更新

賃貸契約とセットになっている「火災保険」や「家賃保証会社」の多くも2年契約です。万が一の火災やトラブルの際、保険が切れていて困るのは借主自身でもあります。これらを漏れなく更新させるための大切な機会になっています。

契約継続の意思確認

入居者が「今後もここに住む意思がある」ということを書面で確認し合うことで、お互いの信頼関係を再確認する節目になります。

つまり、事務手続きとしての「更新」自体は、安全で安心な暮らしを維持するために必要な「定期健康診断」のようなものなのです。

■ 背景を知ると納得できる?「更新料」の仕組みと地域性


借主として一番気になるのは、やはり「更新料」という費用の面ですよね。

この更新料が生まれた背景には、日本の賃貸経営における独自のバランスがあります。

実質的な意味合いの一つとして言われているのが、「月々の家賃を平準化するための補填」です。

もし、更新料を完全にゼロにする場合、貸主側は建物の維持管理費や将来の修繕費を賄うために、月々の家賃を少し高めに設定せざるを得なくなるケースがあります。

しかし、月々の固定費が高くなると、今度は借主側が初期の予算内で部屋を探しにくくなってしまいます。

そのため、「月々の家賃をできるだけ抑える代わりに、2年に一度の更新時に一部を補填してもらう」という、一種の分散払いの仕組みとして機能しているのが現代のリアルな側面です。

なお、この更新料は日本全国共通のルールではありません。

関東圏では約8割の物件で設定されていますが、関西圏では長年の商習慣の違いから設定されている物件が少なく、北海道や九州でもほぼ存在しない地域があります。

過去にはこの費用をめぐる裁判もありましたが、2011年に最高裁判所が

「契約書に明記されており、金額が妥当な範囲(家賃1ヶ月分程度など)であれば、有効な合意である」

いう判決を出しています。

そのため、現在の賃貸契約においては、お互いが合意した大切なルールとして定着しています。

「一人暮らし」と「ファミリー」で異なる、借主の受け止め方


この更新料ですが、借主が一人暮らし(単身)か、ファミリー(家族)かによって、家計への影響や選択肢が大きく変わってきます。

【一人暮らしの視点】フットワークの軽さと、トータルコストの天秤

一人暮らしの場合、家賃が6万円であれば更新料も6万円。

火災保険なども含めて総額8万円前後の出費になることが多いです。

単身生活においてこの出費は決して小さくありませんが、一人暮らしには「フットワークの軽さ」というメリットがあります。

「更新料を払って今の部屋に住み続けるか、それとも初期費用が抑えられる別の部屋へ引っ越して、新しい環境に身を置くか」

という比較が、比較的スムーズに行えます。

ライフステージの変化に合わせて柔軟に住まいを変えられるのは、単身の借主ならではの強みです。

【ファミリーの視点】暮らしの安定と、まとまった出費のバランス

一方でファミリーの借主の場合、家賃が15万円の物件であれば更新料も15万円。

さらに人数分の火災保険料や保証会社の費用が加算され、一度に20万円近くのまとまった出費になることがあります。

教育費や家族の生活費がかかる中で、この出費は家計にとって大きなイベントです。

また、ファミリーには「家族の生活基盤」という守るべきものがあります。

子供の学校区や通い慣れた保育園、地域のコミュニティ、そして膨大な荷物の引っ越し費用や労力を考えると、簡単に「更新をやめて引っ越そう」とはなりにくいのが現実です。

そのため、ファミリー層にとっては、「暮らしの安定を維持するための、大切な維持費」という意味合いが強くなります。

■ 借主として知っておきたい、穏やかで賢いアプローチ


更新時期を「ただお金が出ていく時期」にしないために、貸主側との良好な関係を保ちつつ、借主としてできる穏やかなアプローチをご紹介します。

① 一人暮らしのアプローチ:これまでの信頼をベースにした相談

フットワークが軽い一人暮らしですが、今の部屋が気に入っているなら、長く住むことが一番の節約になります。

もし、家賃の滞納もなく部屋を綺麗に使ってきた実績があれば、それは貸主側にとっても非常にありがたい「優良な入居者様」です。

更新時に「どうしても予算が厳しくて迷っている」という場合、誠実な態度で管理会社に相談してみるのも一つの方法です。

「とても気に入っているので長く住み続けたいのですが、今回の更新料について、少しだけお支払い方法の相談や、ご減額のご相談は可能でしょうか」

と、「住み続けたい意志」を前提に相談してみると、柔軟に対応してもらえるケースもあります。

②ファミリーのアプローチ:周辺の市場変化に合わせた客観的な相談

簡単には引っ越せないファミリー層は、感情的な交渉ではなく、「周辺の家賃相場」を参考に、ビジネスライクで丁寧な相談をするのがスムーズです。

建物は年数が経つにつれて少しずつ価値が変化します。

もし、近隣の似たような築年数・間取りの物件の家賃が下がっている場合、それを元に相談してみる余地があります。

「いつも丁寧に対応していただき感謝しております。更新にあたり周辺の募集状況を拝見したのですが、少し相場が変わっているようです。もしよろしければ、今後の契約について家賃のご相談をさせていただけないでしょうか」

貸主側にとっても、長く丁寧に使ってくれるファミリー入居者に退去され、次の募集やリフォームで大きなコストがかかるよりは、相談に応じた方が良いと判断されるケースがあります。

③ 共通のアプローチ:最初から「更新料なし」の選択肢を選ぶ

もし将来的に引っ越しを検討する機会があれば、最初から契約条件に「更新料なし」と明記されている仕組みを選ぶのが最も確実です。

UR賃貸住宅(都市再生機構)

更新料だけでなく、礼金や仲介手数料もかからないため、特にファミリー層に人気があります。

独自のプランを持つ管理会社

最近では、大手のハウスメーカー系などで、更新料を廃止する代わりに月々の少額のサポート費にするなど、借主の負担を分散させるプランも増えています。

■ まとめ


賃貸の更新料は、一見すると借主にとって負担に感じられるシステムですが、その裏には「月々の家賃を抑える仕組み」や「安心のための保険の更新」といった、お互いの生活を守るための背景があります。

貸主も管理会社も、基本的には「今の入居者様に、長く快適に住んでほしい」と願っているものです。

次にお手元に「更新のお知らせ」が届いたときは、それを単なる出費の時期と捉えるのではなく、自分のライフプランを見直したり、これまでの丁寧な暮らしを振り返る良い節目にしてみてはいかがでしょうか。

お互いに誠実なコミュニケーションを心がけることで、次の2年間もより安心して、心地よい住まいでの時間を過ごすことができるはずです。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)パイオニア(先駆者)を目指しています。

1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。

●ご売却をご検討の方は、こちらをご参照ください。

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