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3.202026

不動産売買の「決済日」を引き延ばすことは可能なのか、を考える

決済日」を引き延ばすことは可能なのか、を考

目次

  • ■ はじめに
  • ■ 決済とは
  • ■ 決済を延期する手続き
  • ■ 決済を引き延ばす注意点
  • ■ 決済を引き延ばす正当な理由
  • ■ 仕事の理由は、正当な理由とは認められない
  • ■ まとめ

■ はじめに


不動産の売買において、決済日・引き渡し日を事前に確認のうえ、契約書に記載します。契約を締結後、「もうすぐ決済日かぁ」、と考えていたら相手方から「決済日を引き延ばしてほしい」、という連絡を受ける場合もあります。

この決済日を引き延ばす、という行為は当然なのでしょうか。「履行遅滞」という債務不履行(違約)に該当するのでしょうか。 

そこで、今回は、決済を引き延ばす行為について考えてみます。

■ 決済とは


不動産売買の「決済」とは、不動産売買において最も重要で、契約の締めくくりとなる手続きであり、残代金の支払い、所有権の移転登記、物件の引渡しを行い、その売買契約の取引を完了させる手続きです。

買主が金融機関より融資を受け、売主が抵当権抹消の手続き、所有権移転登記を申請するため平日の午前中に金融機関にて行われ、売主・買主・不動産会社・司法書士が同席します。 

決済当日の一般的な流れは次のとおりです。

1.司法書士により本人確認・書類確認を行う。

2.買主の銀行口座にローンが振り込まれた後、売主へ残代金が受領される。

3.諸費用等の支払いを行う(仲介手数料、登記費用(司法書士報酬)など)。

4.司法書士により、法務局に所有権移転・抵当権抹消登記申請を行われる。

5.物件の鍵、書類等の受け渡しを行い取引が完了する。

■ 決済を延期する手続き


不動産売買の決済を延期する場合、必ず仲介業者に決済を延期しなくてはならない理由を伝え、相手の承諾をとる必要があります。

相手の承諾を取らずに自分の都合だけでは延期することはできず、最悪の場合には契約解除や違約金請求に発展する恐れがあります。

最悪の場合にならないために、以下の流れで決済の延期を進めてください。

1. 仲介会社への即時連絡と理由の説明

仲介業者に事情を説明のうえ、相手方へ決済の延期の打診してもらう。

※延期をしてもらう理由、どのくらい期間延期をするのか(決済の確定日)が重要となります。

2.合意書(覚書)の作成・締結

相手方が決済の延期に承諾した場合、契約書の変更(決済の延期)について必ず書面を作成のうえ、署名捺印します。

この合意書(覚書)には、以下の点を記載することになります。

①旧決済日と新決済日

延期の理由

③費用の負担

※延期によっては引越しキャンセル料、火災保険の起算日変更などが必要になります。

3. 関係各所へのスケジュール調整

日程が決まったら、以下の関係者にも連絡し、予約を取り直します。

金融機関(銀行): ローン実行日の変更手続き(数日〜1週間前までの連絡が必要な場合が多いです)。

司法書士: 当日の立ち会いスケジュールと、登記書類の有効期限(印鑑証明書など)の確認。

火災保険会社: 保険開始日の変更。

引越し業者・ライフライン: 入居・退去日のスライド連絡。

4. 精算金の再計算

固定資産税や管理費・修繕積立金などの「日割り精算」は、通常引渡し日(決済日)を基準に計算します。日程がズレることで金額が変わるため、仲介会社に再計算を依頼してください。

■ 決済を引き延ばす注意点


不動産売買において、決済を延期する、ということは、単純に「日程の変更」にとどまらず、契約違反(債務不履行)として重大なペナルティやリスクを伴う可能性があります。 

★売主が決済を引き延ばすことによる買主側に生じる実務的・法的な問題点は主に以下の2点です。

1.買主の「住宅ローン」に関する問題

住宅ローンの金利は、実行時(決済時)の金利が適用されるため、引き延ばした間に金利が上がった場合、買主は数十年間にわたり増額された利息を払うことになり、その差額を損害賠償として請求される可能性があります。

※銀行の融資承認には有効期限があるため、延期による期限が切れなどは必ず確認をとる必要があります。

2.住居・引越しに関する実費の発生

決済日の変更により引越し業者のスケジュール変更に伴い引越し業者へのキャンセル料や延期料が発生する場合があります。

また、買主が現在居住している賃貸を退去する予定が決まっている場合、賃貸を一旦退去しなければならない場合があり、ホテル代やウィークリーマンション代、荷物の保管料などの実費を請求される可能性があります。

★買主が決済を引き延ばすことによる売主側に生じる実務的・法的な問題点は主に以下の2点です。

1.売主の「維持費」負担が増え続ける

決済が完了すまるでの間の売却予定地にかかる費用は売主の負担となるため、固定資産税・都市計画税、管理費・修繕積立金は、引き延ばされた日数分や月数分、売主が負担することになります。

また、売主が残代金で返済を行う予定の住宅ローンの利息にも影響してきます。

2. 買い替え先の計画がに変更が生じる

売却代金を買い替え先の購入資金に充てる予定の場合、買い替え先のスケジュールを変更しなくてはならなくなり、売主が買い替え先の売主より違約金を請求されることもあります。

※買い替え先の購入資金に住宅ローンを検討している場合、二重の返済となる場合もあります。

■ 決済を引き延ばす正当な理由


決済を引き延ばす正当な理由は、以下の3点です。

1.融資利用の特約(ローン特約)

銀行のローン審査が、買主の責めに帰すべき事由(故意の虚偽申告など)以外で落ちてしまった場合。

※契約書に記載された「ローン特約期限」内である必要があります。期限を過ぎている場合、正当な理由にはなりません。

2.天災地変などの不可抗力

地震、噴火、洪水、津波など、買主の力ではどうしようもない事態で決済不能になった場合。

3.契約書にて取り決めた売主側の義務不履行

売主による「境界標の設置」や「建物解体」など、決済までにやむなき事由により遅延している場合。

■ 仕事の理由は、正当な理由とは認められない


延期の理由として多くは、仕事を理由としたことです。

しかし、「仕事」を理由とした決済の延期は、法的には正当な理由とはみなされず、明確な契約違反(債務不履行)に該当します。

不動産売買において、売主、買主には「義務」があり、契約書で決済日が定められており、売主、買主はその日に向けて仕事を調整する義務があるため、仕事の理由というは、個人の事情に過ぎないと解釈されています。

「仕事」の理由以外にも個人的事情はすべ正当な理由として判断されません。

例えば、身内に不幸があった場合、体調を崩し、入院した場合なども法律や不動産取引の原則としては「決済を延期できる正当な理由」にはならず、基本的には違約(債務不履行)の対象となります。

冷たく聞こえるかもしれませんが、不動産売買において「正当な理由」と認められるのは、ローン特約などの契約上の特約か、天災などの不可抗力に限られます。

※法律や不動産取引の原則では認められませんが、多くの売主、買主は、「道義的な配慮」として合意の上で延期を受け入れているのが実情です。

■ まとめ


万一、決済当日に売主または買主が立ち会えない場合、「代理人を立てる」かまたは「日程を延期する」か、の2つの方法で対処するしかありません。

1.代理人を立てる場合

本人が仕事や急病などでどうしても来られない場合、代理人を立てて手続きを進めることが可能です。 

代理人の選定は、親族や、信頼できる知人に依頼します。

必要な書類として本人からの委任状(実印を押印したもの)に加え、本人の印鑑証明書や代理人の本人確認書類が必要です。

また、登記手続きを担当する司法書士が、事前または当日に電話などで「売却・購入の意思」を直接本人に確認する方法が一般的です。 

2.決済日を延期する

双方が合意のうえで、別の日に決済日を設定します。

この場合、必ず「合意書」や「覚書」を締結してください。 

万一、決済日をどうしても引き延ばすしか方法がない場合、この事情が判明した時点で、すぐに仲介業者に連絡し、相手方の事情を踏まえ、そのような方法をとることがよいのかを相談することが不可欠となります。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)パイオニア(先駆者)を目指しています。

1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

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