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2.132026

不動産売買の契約不適合責任とは何か、を考える

目次

  • はじめに
  • 契約不適合責任とは
  • 契約不適合責任の3つの要素
  • 契約不適合責任の注意点
  • 売主のリスク回避
  • まとめ

■ はじめに


2020年4月の民法改正に伴い、不動産売買においても大きな変化が生じました。その民法改正によって大きく異なったといえば、「契約不適合責任」です。

民法改正前(2020年4月1日施行以前)においては、

引渡された目的物(特定物)に「隠れた瑕疵」が存在する場合、売主は無過失責任である「瑕疵担保責任」を負い、買主は売主に対して「瑕疵担保責任」にもとづき損害賠償や契約解除を求めることができました。

民法改正(2020年4月1日施行)により、

「瑕疵担保責任」は債務不履行責任の一種とする「契約不適合責任」に名称が改められ、損害賠償請求と契約解除の他、追完請求と代金減額請求も規定されました。

そこで民法改正より5年経過した今、「契約不適合責任」に名称が改められ、どのように変化が生じたのか、考えてみます。

■ 契約不適合責任とは


不動産売買における契約不適合責任とは、引渡された物件が契約内容(種類・品質・数量)と異なる場合、売主が買主に対して負う責任です。雨漏りやシロアリ等の不具合に対し、修理や代金減額、契約解除、損害賠償を求められる包括的な責任となりました。 

契約不適合責任の注意点

改正前の瑕疵担保責任の「隠れた不具合(瑕疵)」だけでなく、売買契約書の内容と食い違っている物件のすべてが対象となりました。

契約不適合責任の要点は以下の通りです。

1.買主の4つの権利

・履行の追完請求:修理、代替物の引き渡し、または不足分の引き渡し。

・代金減額請求:補修が不可能・困難な場合、代金の減額を求める。

・契約の解除:契約目的が達成できない場合。

・損害賠償請求:損害が発生した場合。

2.通知期間

買主は、不適合を知った時から1年以内に売主へ通知しなければ、原則として権利を失う。

3.責任の期間(特約)

個人間取引では、期間や免責(責任を負わない)を特約で設定することが一般的だが、売主が知っていて隠した不具合には適用されない。

※事業者売主の場合

売主が不動産会社(宅建業者)の場合、引き渡しから2年未満の特約は無効となり、不利な特約は適用されない。 

この責任は「売主にとって責任範囲が重い」ため、契約時にどこまで保証するかを明確にすることが非常に重要です。

■ 契約不適合責任の3つの要素


不動産売買における契約不適合責任は、引渡された物件が「契約の内容」と一致しない場合に売主が負う責任であり、「種類」・「品質」・「数量」が基準となります。

●種類について

1. インフラ・周辺環境について

・都市ガスの未整備: 宅地内に都市ガスを引き込みできるという説明だったが、実際にはプロパンガスしか利用できず、引き込みに多額の費用がかかる。

・前面道路は公道と説明されたが、実際には私道であり、通行や掘削(配管工事)に近隣住民の承諾料が必要である。

・将来的に家を建て直せる、と説明を受けていた土地が市街化調整区域内で建物の建築が厳しく制限される地域であった。

2. 眺望・日照・環境について

・富士山が見えること、をセールスポイントに販売したが、実際にはその富士山を遮る形でマンションの建築計画があり、引渡し時には見えなくなることが判明していた。

・南向きで日当たり良好、として契約したが、実際には隣地の建物の影響で日照時間が短い。

3. 設備等のメーカー・グレードについて

・国内大手メーカーのパネル搭載。していたが、実際には海外の無名メーカー製だった。

・ZEH基準を満たす住宅、として契約したが、実際には認定を受けられる仕様ではなかったため住宅ローン控除等の優遇が受けられなかった。

4.管理規約・ルールについて

・ペット飼育の可否: 「ペット飼育可」として契約したが、実は規約で「体高30cm以内」などの厳しい制限があり、飼っている犬と住めない。

・防音設備があり演奏可能、という前提だったが、規約でピアノ等の使用が一切禁止されていた。

・投資用やSOHOとして購入したが、規約で「居住専用」に限定されており、事業利用が不可能。

●品質について

「品質」に関する不適合は、説明の重要性が高い部分ですあり、建物の内側(目に見えない部分)から外側(環境)まで含まれる項目です。

具体的には以下の例が挙げられます。

1. 建物構造について

雨漏り: 屋根、外壁、窓枠(サッシ)からの浸水。

シロアリ被害: 土台や柱が蝕まれ、構造耐力が低下している状態。

建物の傾き: 基礎の不同沈下などにより、建物全体が一定以上傾いている。

腐朽・腐食: 結露や漏水により、床下の構造材や壁内の断熱材が腐っている。

2. 設備・ライフラインについて

給排水管の故障: 床下での水漏れ、配管の詰まり、赤錆の発生。

換気設備の不良: 24時間換気が機能していない、ダクトの接続不良。

断熱性能の不足: 契約で「高断熱仕様」をうたっていたのに、実際には断熱材が入っていない、または仕様が著しく低い。

床暖房・給湯器の不具合: 特約で「使用可能」としていた付帯設備が、引渡し直後に動かない。

3. 地盤・土地について

地中埋設物: 以前の建物のコンクリート殻、古い浄化槽、基礎杭などが埋まっている。

土壌汚染: 以前の土地利用(工場跡地など)により、有害物質が基準を超えて検出される。

地盤の軟弱: 家を建てるのに十分な強度がない(補強工事が必要なレベル)。

4. 法律的・環境的について

アスベスト(石綿)の使用: 使用されていないと聞いていたが、実際には断熱材などに含まれていた場合。

耐震性能の不足: 「耐震等級3」を条件としていたが、計算ミスで基準を満たしていない場合。

騒音・振動・悪臭: 建物自体の遮音性能が、一般的な基準や契約上の仕様を著しく下回っている場合。

●数量について

1. 土地の面積について

・公簿売買ではなく「実測売買(実際の面積で精算)」とした場合に、測量したら契約より狭かった場合。

・土地全体の面積は合っているが、セットバック(道路後退)部分が予想以上に広く、実際に建物を建てられる面積が契約より少ない場合。

2. 建物の内部について

・マンションで「壁芯面積(壁の厚さを含む)」で説明を受けていたが、登記簿上の「内法面積(壁の内側のみ)」が想定より狭く、住宅ローン控除の適用要件(50㎡以上など)を割り込んでしまった場合。

・4LDKして契約したが、1部屋が建築基準法上の採光基準を満たしておらず、法的には納戸(サービスルーム)扱いであり、実質的な居室数が足りなかった場合。

3. 付帯設備・附属品について

・全居室(4部屋)エアコン付き、という契約だったが、実際には2部屋分しか設置されていなかった場合。

・車2台駐車可能、という条件で購入したが、実際には小型車1台と軽自動車1台しか入らず、普通車2台は物理的に収まらなかった場合。

・ 敷地内の「物置」や「車庫」も売買対象に含まれるはずだったが、実際にはそれらが存在しない、あるいは取り壊されていた場合。

4. 権利の「割合」に関する例

・私道負担部分やゴミ置き場の持分が「3分の1」あると聞いていたが、実際には「6分の1」しかなく、将来の補修費負担や権利関係に相違が出る場合。

■ 契約不適合責任の注意点


売買契約における契約不適合責任の注意点は、売主については「不具合の正確な告知と契約書への明記」、買主については「通知期限の遵守」です。

1. 売主側の注意点

・物件の状態と契約内容が一致していない場合に責任を問われます。雨漏りやシロアリ被害などの不具合はすべて 容認事項 として契約書に記載し、買主の承諾を得る必要があります。

・「契約不適合責任を負わない」という特約(免責特約)を設けても、売主が 知っていて告げなかった不具合 については免責されません。

・売主が事業者の場合は 消費者契約法、売主が宅建業者の場合は 宅地建物取引業法により、免責や期間短縮の特約が無効になる場合があります。 

2. 買主側の注意点

・民法上の原則では、不適合を知った時から1年以内 に売主へ通知しなければ、権利が消滅します。

・従来の損害賠償・契約解除に加え、追完請求(修理など)と 代金減額請求 が可能です。

3. 実務上のポイント


・実務では、通知期間を「引渡しから3ヶ月」などに短縮する特約が一般的ですが、合意が必要です。

・契約不適合責任では、実費(信頼利益)だけでなく、転売などで得られたはずの利益(履行利益)も賠償範囲に含まれる可能性があります。 

■ 売主のリスク回避


1. 売主リスク回避

「契約不適合責任とは、『契約書に書いたことと、実際の状態が違う』ことに対して責任を負うルールです。民法改正前の瑕疵担保責任よりも範囲が広く、売主にとっては事前の告知が何より重要となります。

ポイント

「不具合があること」自体は、契約書に記載し、合意していれば責任を問われません。

「知っていたのに書かなかった」「知らなかったが、契約書に『異常なし』と記載した場合、修理代や減額を請求されるリスクが生じます。

■ まとめ


契約不適合責任とは、民法で定められた責任です。しかし、「欠陥探し」のためのルールではなく、「お互いが納得して取引を終えるための、約束の再確認」です。

売主にとって大きなリスクとなりますが、不安な点はすべて契約書に記載し、ありのままに物事を隠さず、買主に伝えることが大切です。

また、建物の内部など外見からではわかりづらい部分もあるた、えインスペクション(住宅診断)の導入を検討されるのもおススメです。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)パイオニア(先駆者)を目指しています。

1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。

●ご売却をご検討の方は、こちらをご参照ください。

●賃貸をご検討の方は、こちらをご参照ください。

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