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1.132025

「更地渡し」・「現況渡し」の違いのご説明と注意点!

■ 目次

  • ■ はじめに
  • ■ 「更地渡し」・「現況渡し」の違い
  • ■ 更地とは
  • ■ 取決めに関する注意点
  • ■ 建物解体工事に伴う手続きについて
  • ■ まとめ

■ はじめに


不動産の売買において「更地渡し」という売買契約の条件がある一方「現況渡し」という条件もあります。

この「更地渡し」と「現況渡し」。不動産売買契約の締結日において「古家」が存在しているということです。

「更地渡し」と「現況渡し」、この取り決めにより、建物解体を行うのか、または、買主が建物を使用するのか、など売買の目的が変わることになります。

今回は、この「更地渡し」と「現況渡し」。どのような違いがあり、どのような注意が必要なのか、を考えてみます。

■ 「更地渡し」・「現況渡し」の違い


不動産の売買において「更地渡し」と「現況渡し」の違いは、その不動産売買の目的物が「土地」なのか、「土地・建物」なのか、という違いです。

不動産売買契約において契約時に手付金を支払い、その後、ある一定の期間を定めて残代金の受渡し、所有権の移転、引渡しを行います。

引渡しにおいて買主から見て土地だけを引渡しを受けるのか、それとも土地と建物の引渡しを受けるのか、という違いです。

「更地渡し」の場合、売買契約締結後、建物の解体・撤去し、建物の滅失登記を完了して引き渡すことになります。建物の解体費用は売主の負担となることが一般的です。

一方、「現況渡し」の場合、建物を現状で引き渡すことになります。この場合、買主は土地・建物を取得し、必要に応じて買主自ら建物を解体・撤去を行うことになります。

ただし、この場合、売出価格から建物の解体・撤去費用を考慮し、売買契約を締結することが大半を占めています。

■ 更地とは


まず、「更地」とは、どのような状態をいうのでしょうか。

この「更地」と言う状態について民法では定義されてはいないのです。

では、何にもとづいて「更地」と言うのか?

法令上の定義条項までは定められてはいないのですが、国土交通省が定める「不動産鑑定評価基準」において、「更地」とは、「建物等の定着物がなく、かつ、使用収益を制約する権利の付着していない宅地」をいうものとされています。

※岩波出版『広辞苑第7版では「地上に建築物などのない宅地」と記されています。

既存の建物が存在ある場合の「更地」とは、その既存建物を解体・撤去し、「整地」までを行うのが一般的な方法となります。

※「整地」も法令にもとづく用語ではありません。岩波出版『広辞苑第7版』では、「建築をする前に行う土地の整理。土地をならすこと。」と記されています。

■ 取決めに関する注意点


1.費用負担を明確にする

「更地渡し」と「現況渡し」どちらの負担でも売買契約に明記することが大切です。

重要なのは後々のトラブルを防ぐためにも、解体費用の負担者を売買契約書に明確に記載することです。

契約書には、解体の実施時期や方法、費用の具体的な金額や支払い方法なども含めて詳細に記載することがオススメします。

【更地渡し:売主負担による場合の特約】

売主は、残代金支払いの時期までに、その責任と負担において本物件上に存する建物・工作物・立木・庭石等を解体・撤去し、家屋番号●●番●の建物の滅失登記を完了するものとします。

【現況渡し:買主負担による場合の特約】

買主または買主の指定した者が残代金支払い時において本物件建物につき、売主の所有権移転登記申請にかえて建物の滅失登記の申請を希望したときは、売主はこれに協力するものとします。

ただし、この建物の取壊しおよび滅失登記に要する費用は買主負担とします。

2.残存物の確認をする。

現況渡しの場合の残存物にも注意することが大切です。

現状渡しの場合、売主側も仲介業者より「現況渡しで販売しましょう。」と言われると、残置物を残したままで良いと勘違いする可能性もあります。

しかし、実際には、「現状渡し」においても売主が残置物の撤去等行わなければなりません。
不動産の売買契約における「現状渡し」とは、修繕などをせずそのまま引き渡す方法で、ゴミ等残置物をそのまま放置して買主に引き渡すものではないことには注意してください。
売主は、仲介業者の言葉を鵜呑みにせず、何を撤去して、何をそのままにしても良いのか、を必ず確認するようご注意ください。

そして、売買契約にはどのような特約事項を記載するのかを確認することも必要です。

たとえば、売主の負担で引き渡し日までに残置物を処分すると書かれているなどです。
※買い取り業者などに買い取ってもらう場合、残置物も含めて買い取ってもらえる場合もあります。

【買主で残置物を処理してもらう場合の特約・・・①】

本物件の室内に、引渡日以降にも動産が存する場合、売主は当該残置物の所有権を放棄したものとし、買主が廃棄や第三者への譲渡等を行ったとしても一切の異議申し立てはできないものとします。なお、処分等に費用がかかる場合は買主の負担としますが、処分にあたり必要書類の用意等、売主の協力を要する場合には、売主はこれに協力するものとします。

【買主で残置物を処理してもらう場合の特約・・・②】

買主は、本物件引渡に際し、①本物件土地に立木・庭石・ブロック塀等が現存していること、②本物件建物内に家具・衣類・寝具・電気製品・ゴミ等の残存物が未処理の状態であること、を確認し、現状のまま買受けるものとします。

2売主は、買主に対し、本物件の引渡に際し、本物件の状況確認(以下、「本件建物確認」という。)のため、立会う機会を与えるものとします。

3売主は、前項の本件建物確認をその10日前までに買主へ通知するものとし、本件建物確認日時を協議するものとします。

※残置物を撤去するのか、しないかによって売主・買主の負担が違いますので、物件状況報告書・設備表には必ず記載をしていただき、後々のトラブルとならないようにご注意してください。

■ 建物解体工事に伴う手続きについて


最後に建物解体工事に伴うライフライン等の手続きについて記載をしておきますので参考にしてください。なお、注意事項として建物解体工事の10日前までに必ずご連絡をしていただきたいことと、水道は止めないようにご注意ください。

1.電気に関して

電力会社に家屋解体のため、使用の停止申請をします。

その時に、○○日から建物解体を行うので、と日時を伝えてください。

担当営業所において手続きをしますが、電話でできる場合がありますので、まずは近くの営業所に尋ねてください。

その後、解体前に電力会社が、電柱から家屋までの引き込み線や電気メーターを取り外します。家屋内の電線等は解体工事会社の担当となります。

2.ガスに関して

ガス会社(都市ガス)に対しては電気と同様に、○○日から建物解体を行います、と日時を伝え、使用の停止申請を担当の会社あるいは営業所に連絡します。

解体前に、ガス会社が公道下に埋められたガス管と私有地である解体敷地内の接続部分のガス管を切断します。

これは有料になりますので、ガス会社が事前に見積もりを提示します。

多くの場合、この撤去時にガス会社がガスメーターを取り外します。ガスメーターに関しては、解体時に解体工事会社から施主に対して撤去を要請されることもあるので、解体工事前に施主側としてガス会社と話し、どうするのかを明確にしておく必要があります。

工事後は、家屋内のガス管等は解体時に業者が処分します。

3.電話に関して

近くのNTTの営業所に、○○日から建物解体を行います、と日時を伝え、停止の手続きを取ります。

解体前に、連絡後数日でNTTが電柱から家屋までの電話引き込み線を撤去します。

4.CATVに関して

ケーブルテレビにおいても、同じように建物解体を行います、と日時を伝え、停止の手続きを取ります。

線の切り離しなどを電気屋さんに依頼するケースがありますので、ケーブルテレビ会社にケーブル線についてどうするのかも事前に確認しておきます。

5.浄化槽に関して

浄化槽などの汚泥は、解体工事前に施主の責任において清掃する必要があります。

また、便漕の汲み取りなども工事前に施主が行って下さい。

6.水道に関して

水道に関しては、解体工事の際に粉塵の拡散を防ぐために散水をしながら工事を行います。水道の停止は工事完了後まで行わないようにして下さい。

工事前に水道が停止していますと、工事ができなくなりますので注意が必要です。

また、水道が停止した状態で解体に入る場合は、解体工事会社が散水用のタンクを持ち込むこともできますが、この場合は水の料金が割高になり解体費用が膨らむ原因となります。

なお、水道に関しては、解体後も跡地に家屋を建設するのか、駐車場などにするのかは別にして、土中に管や水道メーターを埋めておくのが一般的です。

理由としては、敷地内の水道管などをも撤去し、再度新たに家屋を建設するために上下水道を引くことになると新規の敷設になるので、数万円の経費がかかるからです。もちろん、解体後に元の所有者が基本料金等を払い続けることはありません。

■ まとめ



「更地渡し」、「現況渡し」それぞれ不動産売買における基本的な取決め事項です。

しかし、基本的な取決め事項でも、費用負担が売主なのか、買主なのか。解体業者への依頼が売主なのか、買主なのか。

「更地渡し」、「現況渡し」により違います。後々のトラブルとならないよう仲介業者をとおして取り決めなければならないことは少なくはありません。

売主・買主それぞれ専門的知識のある方にご相談され、トラブルのないよう不動産売買をオススメください。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)パイオニア(先駆者)を目指しています。

1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

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