2023年12月8日
■ 目次
- ■ 任意売却とは
- ■ 任意売却のメリット・競売との違い
- -任意売却のメリット
- ー任意売却のデメリット
- ■ 裁判所からの競売開始決定とは
- ー競売までの流れ
- ■ 滞納開始から任意売却の流れについて
- ー任意売却のスケジュール
- ■ とりあえずご相談
- ■ まとめ
■ 任意売却とは
任意売却とは、住宅ローン等の借入金が返済できなくなった場合、売却後も住宅ローンが残ってしまう不動産を債権者(金融機関等)の合意を得て売却を行うことです。
このため、任意売却は、通常の不動産売却と異なり、債権者(金融機関等)が同意してくれないと売却を行うことができなくなります。
住宅ローンを滞納、延滞すると、債務者がローンを分割で返済する権利が失われてしまい、お金を貸した金融機関は残っている住宅ローンの全額を一括で返済することを要求してきます。
住宅ローンの返済が完了していない残りの債務を一括で返済できない場合、金融機関は担保となっている自宅を強制的に売却し、その売却代金から貸したお金を回収します。
この、担保不動産を強制的に売却するのが競売です。
競売は所有者の同意なしに売却することを裁判所が認め、裁判所が所有者に代わり、物件の購入者を入札形式で決定します。
■ 任意売却のメリット・競売との違い
売却方法は、通常の売却方法と変わりません。近隣の方には所有者の売却理由などは知れ渡ることはありません。
競売の場合、裁判所やインターネットで告知を行いますので競売物件として近隣の方に知れ渡る場合があります。
任意売却は市場価格で売却を行いますので競売と比べて価格面で大きな乖離が生じ、競売より高く売却が出来、その分、多くの返済が可能となります。
また、任意売却の場合、諸条件に関して、購入希望者にあらかじめ希望を伝えることができ、仕事やお子様の学校などに与える影響を極力少なくさせることができます。
■ 任意売却のメリット
①通常の売却と同程度の価格で売却できる
②周囲に事情が知られにくい
③契約日や明け渡し日に関して売主の融通が利く
④費用や手数料を売却金額から出せる
⑤残債を分割返済できる
■ 任意売却のデメリット
①金融機関や保証人の合意や同意が必要
②任意売却までの過程で信用情報に傷がつく場合がある
③売却金額が手元にのこらない
④期間内に売り切れないと競売になることも
■ 裁判所からの競売開始決定とは
借入金の返済を滞納し、返済する意思を伝えないなど不誠実な対応をしていると、債権者は裁判所に対して競売の申し立てを行い、裁判所が申し立てに問題が無いことを認めた場合、競売が開始されることになります。
これらを知らせるために裁判所から「競売開始決定通知書」が送られて来ます。
※裁判所からの郵送方式は、特別送達となり、公的機関が文書を送るために使われる郵便物で、受取の拒否はできませんし、もし長期で不在の場合はポストなど受取に関わるものに投函しただけで配達完了となります。
■ 競売までの流れ
① 金融機関から督促場が届く
② 金融機関から催告書が届く
③ 金融機関から「期限の利益の喪失」という通知が届く
※滞納してから3~6ヶ月、この通知が届きますと分払いは認められなくなり、一括返済しなければなりません。
④ 金融機関はローン保証会社に代位弁済を要求する債務者はローン保証会社から一括返済を要求される
⑤ ローン保証会社が競売の申し立てを行う
⑥ 裁判所から競売開始の「決定通知」が届き、不動産が差し押さえとなる
⓻ 裁判所の執行官により現地調査が行われる
⑧ 競売の「入札期間の通知」が届く、改札期日も明記される
⑨ 競売入札の開始
⑩ 開札
※期間について 上記1~4まで:3カ月から6カ月程度 上記4から7まで:2ヶ月から6カ月程度上記7から9まで:2ヶ月から3ヶ月程度 上記9から10まで:2週間程度
■ 滞納開始から任意売却の流れについて
滞納が始まって約6カ月間(6回)を経過すると分割返済の権利を失います。これを期限の利益の喪失と言います。
この期間を過ぎると金融機関は債務者だけでなく連帯保証人や保証会社に一括返済を要求するとともに任意売却の手続きを勧めてきます。
保証会社が保証している場合は保証会社が債務者に代わって残債務を金融機関へ返済し、債権は保証会社へ移転します。これを求償債権の取得と言って今後は保証会社へ返済することになります。
債務者が任意売却を進める意思を債権者へ示せば競売申し立てを停止し、不動産業者と協力して任意売却を進めることになります。
その後、不動産業者と債権者はそれぞれ独自に価格査定を行ったうえで販売価格について調整のうえ、販売を行い購入希望者を探すことになります。
買主が決定したら、売却後の住宅ローンの返済が完了していない残りの債務の返済方法について債権者と調整に入ります。
住宅ローンの返済が完了していない残りの債務の返済方法は、生活に影響を及ぼさない程度の金額となり、返済額は月額10,000円~50,000円が多いようです。
※月額の返済がまったく不可能な場合は、自己破産の申し立てを行って免責してもらう解決方法もあります。
任意売却の相談~手続き、解決に至るまでの流れやスケジュールは、金融機関により異なりますが、任意売却の期間は通常3~6ヵ月ほどかかります。任意売却のスケジュールは次のようになります。ただし、一つの目安としてお考えください。
■ 任意売却のスケジュール
① 電話・郵便での督促
② 電話・メール・対面での相談
③ 現状の把握
④ 価格の査定
⑤ 債権者との交渉
⑥ 売却活動
⓻ 売買契約の締結
⑧ 引越しの準備
⑨ 決済
■ とりあえずご相談
住宅ローンの滞納が続いていない状態でも、住宅ローンの支払いに不安を覚えたら、早めに任意売却の相談をされることをお勧めします。
ご相談をいただく方には相談に来られるまでの事情があり、それぞれ状況によってもちろん解決方法は異なります。
たとえば、
・病気・ケガで収入が減ってしまい支払いが難しい
・倒産・リストラで支払いができなくなった
・離婚で住宅ローンの返済に悩んでいる
・金融機関から督促状が来てしまった
・裁判所から不動産競売の通知が届いてしまった
など、急な環境や状況の変化により住宅ローンの支払いが困難になるケースが考えられます。
このまま放置をすると、いずれ期限の利益の喪失予告や競売開始通知書が届くことになる場合があります。
最悪の状況とならないためにも不安を感じたら、専門家へご相談だけでもされることをお勧めします。
■ まとめ
任意売却についてのポイントやデメリットについてお伝えいたしました。住宅ローンを滞納し競売になる前の最終手段でもある任意売却も、条件が整わないと不成立になってしまうこともあります。
任意売却は債務者(所有者)、債権者(金融機関)、担保物件を買う第三者との合意が条件になるため、売却金額に債権者の合意が得られないと成立はしません。
任意売却が不成立になり、結果的に競売に移行してしまうこともあります。その原因として
・債務者(所有者)が協力しない
・債権者の売却可能金額の思い違い
・仲介を行う不動産会社の任意売却に関する経験と知識の欠乏
以上の3点が考えられます。
また、債務者個人では手続きなどがなかなか難しいため、たとえば、不動産会社の仲介で債権者・債務者の調整をしてもらうことが非常に重要です。
また、任意売却を行ってもローンの残債は返済していく必要があるという点も忘れないでおきましょう。
■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠
私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)のパイオニア(先駆者)を目指しています。
1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。
●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。
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