月イチ連載にて相続実例をご紹介させていただきます。 今回は、第2回目。よろしくお願いいたします。
相続実例②
■相続税評価を素人の私が行った事例
●父親が5か月前に亡くなられました。
相続人である被相続人の長男・長女から相談を受けました。
相続人は、お亡くなりになられたお父様の配偶者である奥様。長男、長女の3名。
相続関係説明図
相続関係説明図●依頼内容
私の行っていたセミナーに参加されていた方からのご相談です。
被相続人が生前お付き合いのあった金融機関より税理士の方をご紹介いただき、相続手続きを進めていたのですが、相続税評価、特に不動産の評価方法で違和感を感じ、ご相談に来られたようです。
この実例は、今から25年前の実例であり、この当時今とは違い税理士の先生方も相続における不動産の評価方法を熟知されていた方が少ない時代であり、このようなセカンドオピニオン的な相談は意外と多くありました。
当初、私の知っている相続に強い、税理士をご紹介させていただくつもりでしたが、金融機関のご紹介でもあり、税理士を変えることに抵抗がありました。
依頼内容は、不動産の評価と物納を検討した場合の税務署との対応を私にお願いしたい、とのことだったのですが、金融機関からご紹介をいただいた税理士の手前、不動産評価と物納申請を私が行うのもどうしたものか、と考えていましたが、依頼者から税理士にお伝えいただき、了承をもらってきたのには驚きました。
確かに、不動産評価と物納申請については、税理士ではなければならない。とは記載がありません。今までの経験で不動産評価と物納申請したのは3回ありますが、この事例が初めて不動産評価について税務署の担当官と協議したケースでした。
相続人と税務署に同行し、評価担当者へ、私が今後不動産評価の件で依頼を受けます、と税務署へ出向いた際には評価担当者もかなり驚いていたのが印象です。
●相続財産
預貯金、有価証券、自宅(土地・家屋)、アパート3件、駐車場2件)
相続税は、税理士の先生の資産では、3億円程。評価方法変更により、1億円を少し超える税額まで評価減ができました。
●結論
では、どのように申告迄行ったのかと言いますと、申告については、税理士。不動産評価については、私が税務署の評価担当者に基本通達や不動産鑑定士の評価額、市役所等見解をまとめて「このような評価方法にて申請します。けど問題ありませんね」といった具合です。
税務署の評価担当者から見れば、「なんで素人の不動産屋が来るんだ?」と思っていたのだと思います。
実際、評価減の打ち合わせに行った際には、
「この評価減の根拠となるなる資料どれですか。」
「市役所の見解は、どの部署の誰ですか。その担当者の署名はあるのですか。」
「不動産鑑定評価を使用するとはどのような意味ですか。」
など様々なご要望をいただいたものです。
評価担当者からのご要望をひとつひとつ処理していくと、評価担当者の態度にも変化が生まれ、申告前には非常に良い関係になっていた記憶があります。
この事例で税務署の相続に対する考え方や評価方法など多くのことを学ばせてもらいました。具体的には言えないのが残念ですが、税務署の担当者も一職員ですので大変のようです。
●ポイント
現在では、税理士が基本通達や不動産評価について勉強されていますので、多少の誤差は生じるとは思いますが、大きな金額の誤差は無いように思います。この事例は25年前です。「業務で「相続」に関することも行っています。」と伝えると、「人が死んで金をとるのか。」と言われた時代です。 今では、インターネットで「相続」と検索すると、途方もない数の情報が飛び込んでくる時代です。 どこまで、経験してるかを、把握して依頼先を決めていただきたいものです。
■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠
私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)のパイオニア(先駆者)を目指しています。
1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。